音楽の部屋2

□ストーカー2
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「これを見て恐れおののけ! 十字架だ!」
ラルフが取り出したのは教会から支給された十字架である。しかし、
べきょっ!
「あ!!」
魔王に素手で折られてしまった。
「こんなもんのどこが怖ぇんだよ」
「これが怖かったらチェック模様や窓枠だって恐ろしいわ」
「くうっ! ならば聖水を喰らえ!」
「おっと危ね!」
ヴィルヘルムとユーリはシモンの放った聖水を華麗に避けた。
「おお、避けたぞ!」
「やはり聖水には弱いようだな!」
勝利を確信するベルモンズ。が、
「そんな手垢の付いた十字架だの、箒だの、指だの突っ込んだ汚ねぇ水なんか魔物でなくともかけられたかねぇよ!」
「雑菌に感染したくはないからな」
聖水を「汚水」と堂々と論破した魔物二名。
「たしかあれ、飲んだり食い物に振りかけたりしてるってよぉ」
「不衛生極まりないそんなものを飲食物に振りかけるとは、アホとしか言いようがないな」
「だからペストとか流行ったんじゃん」
「それを猫や蝙蝠のせいにして殺戮しまわって、さらに被害を拡張するとは、実におめでたい構造の頭だな」
「菌の宿主のネズミや虫を退治して被害を押さえてくれてるのは猫や蝙蝠なのになぁ」
ばっさばっさと切り捨てる魔王と吸血鬼。正論すぎてぐうの音も出ないベルモンズ。
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