音楽の部屋2

□Bin zart Dämonenkönig
2ページ/3ページ

「どうぞ」
「ありがとうございます」
「はい黄竜」
「ぎゃう〜♪」
シャルロットと黄竜にそれぞれ茶を出し、ジャックはシャルロットの向かいに座る。
この城は非常に広い作りなので、黄竜のような巨大な生物も容易に入城させることが可能なのである。
「ボス、任務で出かけてる。もう少し待つか?」
「うるるるる」
ジャックに喉を鳴らして返答すると、再び首を下げて皿の烏龍茶を飲む黄竜。
「黄竜様ともお友達なんて、ヴィルヘルム様はお顔が広いですね」
「昔、ボスが黄竜の怪我治した。それから友達」
「そうだったんですか。ヴィルヘルム様は本当にお優しい方ですね」
「うん。ボス、優しい。僕とジョーカー、家族みたいに受け入れてくれた」
「動作の遅い私を、急かさずに待っていて下さいます」
「色んな事、いっぱい、丁寧に、教えてくれる」
「暴れてた怪獣さんにも、お話しを聞こうとしてました」
「よく、一緒に遊んでくれる」
「ぎゃううう♪」
黄竜も二人に同意するように低く唸る。
「僕、ボス好き。シャルロット、ボス好き?」
「はい、大好きです」
彼女のこの発言に、客間のドアをノックしかけていたヴィルヘルムとジョーカーは固まった。先ほど帰宅したばかりの二人は、途中からしか聞いてなかったのだ。
「ちょ、聞いちゃったよ」
「しゃ、シャルロットが、俺のことを・・・」
頭上にハートマークを大量に浮かべ、悦に入った表情を浮かべる魔王。脳内ではシャルロットの「大好きです」がエンドレスで流れている。ジョーカーに「キモっ!」と引かれてしまうほど。しかし、
「それにジャック様もジョーカー様もコーネリアス様も、皆様大好きですよ」
「ありがとう」
この空気をぶち壊す会話がドア越しに聞こえてきた。
「あら、そっちの好きかよ。ヴィルは・・・あ、重傷」
振り返ったジョーカーが見たのは、魔王の哀れな姿だった。

―Fin―
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ