魔法の部屋

□チェンジ・キャンディー
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「シ〜リ〜ウ〜ス〜く〜〜〜ん♪」
ジェームズがニヤニヤ笑いながら俺に駆け寄ってきた。後ろに何かを隠して・・・。
「どうしたんだジェームズ?」
俺が聞くと、ジェームズは後ろから瓶につめられた何かカラフルな物を、俺の鼻先に突きつけた。いや、瓶っつうより樽だなありゃ。ジェームズの顔と同じくれぇの幅だったからな。
「いや〜、実家からキャンディーが送られてきたんだけどね、量が多くて僕1人じゃ食べきれなさそうなんだ。だから君のその無駄にでかい体に半分ほど収めて貰いたいと思ってね♪」
「『無駄にでかい』は余計だ。それに、俺そんなに食えねぇぜ」
「大丈夫、リーマスやピーターにも食べて貰うからさ。」
「なに? 僕のこと呼んだかい?」
リーマスがソファーの背もたれから身を乗り出してきた。
「お、噂をすれば。うちの親がキャンディーを送ってきたんだけどさ、僕1人じゃ食べきれなさそうだから、君達に半分ほど食べて貰いたいんだけど」
「そういうことなら喜んで♪ 僕お菓子大好きだから♪」
リーマスが本当に嬉しそうな表情でジェームズに答えた。リーマス、わかりやす過ぎるぜ。
「ご協力感謝いたします、ミスタームーニー&パッドフッド。んじゃ、さっそく」
そう言うとジェームズは瓶のふたを開け、キャンディーを2つ取り出し、俺らに1つずつ渡した。当然、俺らはキャンディーをすぐ口に放り込んだ。
「お、なかなか美味ぇじゃねぇか」
「これ何味なんだい?メロン?」
「うん、あと他にもイチゴにオレンジ、パイナップルにブドウなんかもあるよ♪」
味の説明をしながら、ジェームズの顔がなぜかニヤけてる。何がそんなに面白ぇんだ?
バッコーーーン
キャンディーを飲み込んだ途端、頭の横をバットで殴られたような衝撃がきた。
「なんだ今の感じ?」
いつもの俺の声より1オクターブ高い声が出た。
喉元を触ると、締めてねぇはずのネクタイの感触がある。
恐る恐る手を見ると、いつもの自分の手より色白で指が細い。
何かキラリと光るものが視界に入った。見ると俺のローブの胸元には監督生バッジが付いていた。嫌な予感がした。
俺は慌ててトイレに駆け込み、手洗い台の鏡を覗いた。
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