魔法の部屋

□ブラックエンペラー伝説
1ページ/4ページ

ホグワーツの廊下を、本日の授業を全て終えてグリフィンドール寮へと向かう、4つの影があった。
「んふふふふふ・・・。まだあるよね♪」
リーマス・ルーピン少年は嬉しそうにローブのポケットを上から触った。
彼のポケットの中には、今日の昼食のデザートに出されたチョコチップクッキーが、余った羊皮紙に大切に包まれて入っている。リーマスはそれを後で紅茶と一緒にじっくり味わって食べるつもりなのだ。
「・・・リーマス、あんまりニヤニヤしてると気色悪ぃぞ」
隣のシリウスが苦笑いをしながら言った。
「だって、もうすぐクッキーが食べられると思うと、嬉しくて嬉しくて♪」
リーマスは心底幸せそうな笑顔で答えた。
「その気持ちわかるよ。今日のクッキー凄くおいしかったもんね」
と、ピーターが同意した。
「リーマスは随分気に入ったんだねぇ、そのクッキー。食べ終わった後すぐに大量に包んでローブにしまってさ」
ジェームズがからかうように言った。
「うん! こんなおいしいクッキー、昼食しか食べられないのは惜しいからさ! あ、もちろん皆にも分けるよ」
「当然だ。独り占めさせっかよ」
シリウスが軽くリーマスを小突いた。
「やあ諸君、廊下で何をじゃれあっておるのかね?」
4人の行く手に3人のスリザリン生が立ち塞がった。
ルシウス・マルフォイとクラッブ、ゴイルである。
シリウスはルシウスを腐ったゴミでも見るような目で見て、
「俺らが何やってようが勝手だろ。通行の邪魔だから退けよ」
と噛み付いた。
「いーや、退かんね。何しろそこのもやし君が良い物を持っているようだからね」
ルシウスはちらりとリーマスを見た。横のクラッブとゴイルがゲラゲラ笑った。
「リーマスを馬鹿にするんじゃねぇ!!」
シリウスが烈火のごとく怒鳴った。
「馬鹿にはしてない。真実を言ったまでさ」
「それじゃあ僕達も、君の脳味噌がすっからかんだという真実を教えてあげようか?」
ジェームズがハシバミ色の目に怒りの炎を燃やしながら、ルシウスに反発した。リーマスは慌てて間に入った。
「まあまあ2人とも、こんな所で喧嘩はダメだよ。ルシウス達もクッキー食べたかったんだろ? あんまりいっぱい無いから、少ししか分けられないけど。はい」
リーマスがローブから包みを出して、数枚のクッキーをルシウス達に差し出した。
しかし、ルシウスはフンッと鼻を鳴らし、リーマスの差し出したクッキーを叩き落とした。
「誰が薄汚い混血児の触ったもの食べたいと思う? お断りだね」
ルシウスは叩き落としたクッキーを踏み潰した。ゴイルはリーマスから包みを奪い取り、ルシウスに渡した。
「こっちの汚れてないのを頂くとするよ。おっと、この包み紙は君がベタベタ触ったやつだね。残念、これももう汚れているねぇ」
ルシウスはそう笑いながら言い、床に包みを落とし、それをクラッブが踏み付けた。もうクッキーは全部粉々になり、とても食べられそうに無かった。
「だから、二度と僕達に話しかけたり、触ったりしないでくれたまえ。君のせいで僕達の純血が汚れてしまうからね。こんな常識的なことも言わないとわからないなんて、さすが出来損ない、『穢れた血』の子だねぇ」
ルシウスのこの嘲りの言葉に、シリウスとジェームズがキレた。
「てんめぇーーーーーっ!!」
「もう許さないぞ!!」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ