音楽の部屋2

□Bin zart Dämonenkönig
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「わあ、かわいらしいお花♪」
散歩の途中で道端の小さな花を見つけ、シャルロットはしゃがみこんで眺める。
「シャルロット、こんにちは」
その声のした方を見上げると、片手に買い物籠を下げたジャックが立っていた。
「まあジャック様、こんにちは」
「こんにちは。何してた?」
「かわいいお花さんが咲いてましたので、見ていたんです」
その花を見るために、ジャックもシャルロットの隣にしゃがむ。
「これ、ペンステモン」
「ジャック様、ご存知なんですか?」
「ボスに教わった」
と、その時、
「ぎゃおーーー!!」
咆哮と共に、空から巨大な金色の竜が、二人の前に舞い降りてきた。
「まあ、大きな竜さんですね」
「黄竜」
「こうりゅう?」
「この子の名前」
シャルロットに教えながら、黄竜の顎を撫でるジャック。黄竜は気持ちよさそうに目を閉じ、喉を鳴らしている。
「ボスの友達」
「ヴィルヘルム様のお友達ですか。はじめまして、私はシャルロットと申します」
「うるるるる・・・」
シャルロットが丁寧にお辞儀をすると、黄竜はそれに答えるように喉を鳴らす。
「黄竜、どうしてここ来た?」
「ぐるるるるるる」
黄竜の持つ水晶玉にヴィルヘルムの顔が浮かんだ。
「ボスに、会いに来たのか?」
すると、黄竜はその長い首を大きく上下に振った。
「僕も、お城、帰るとこ。一緒に行く?」
「ぎゃおう!」
嬉しそうに尻尾を左右に振り、頭をべたりと地面に降ろした。
「?」
「乗せてってくれるって。シャルロットも来る?」
「よ、よろしいのでしょうか?」
「ぎゃう〜!」
シャルロットが黄竜の方を見ると、黄竜は嬉しそうな声を上げ、さらに激しく尻尾を振った。
「では、お言葉に甘えさせて頂きます」
シャルロットは黄竜の頭に乗ろうとしたが、上手く乗れない。すると、ジャックが先にひらりと華麗に黄竜の頭の上に乗り、その手をシャルロットに差し出した。
「掴まって」
「ありがとうございます」
ジャックがシャルロットを引き上げるのを、黄竜も尻尾で下から押し上げてサポートする。
ジャックはシャルロットが落ちないように彼女を右手で支え、左手で黄竜のたてがみを掴んだ。
「黄竜、シャルロット空飛ぶの初めて。ゆっくり飛んで」
「ぎゃおーーー!!」
黄竜は元気良く吠えて空に舞い上がる。その吠え声の大きさにシャルロットはビクリとなったが、ジャックが支えていたお陰で落ちずに済んだのだった。
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