音楽の部屋2

□Why?
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お買い物をしてましたら、ヴィルヘルム様がこちらに向かって走ってくるのが見えました。
「ヴィルヘルム様ぁ」
私が声をかけると、気付かれたヴィルヘルム様は一瞬大きく目を見開かれました。と思ったら手を掴まれて、路地裏の壁際の行き止まりまで連れ込まれました。
「ヴィ、ヴィルヘル」
「しっ! 静かにして、動かないで」
低い声で囁かれ、ギュッと抱きしめられました。
ヴィルヘルム様の荒い呼吸と、ヴィルヘルム様のお体から響くドキドキという音が聞こえてきて、私までドキドキしてしまいそうです。ヴィルヘルム様に聞こえないかしら?
それに、なんだかいい香りがします。以前ジズ様に見せて頂いた「ムスク」という香水に似ている気がします。
「・・・ふぅ、行ったようだな」
そう嘆息混じりにおっしゃりながら、私を解放なさるヴィルヘルム様。ヴィルヘルム様の大きな腕が離れて、今まで包まれてた暖かさがなくなって、なんだかちょっと寂しくなりました。
「あ、買い物途中だったんだよな? ごめんごめん、買ったのとか大丈夫か?」
「は、はい、大丈夫です」
「そうか。俺の関係者だとわかったら危ないから、俺が出てった数分後にここから出るんだ。いいな?」
「はい、わかりました」
「悪いな。じゃあ、またな」
ヴィルヘルム様が外の様子を伺いながら出て行かれてから、私も路地裏を出ました。かなり時間が経ったのに、まだ胸がドキドキしてます。頬も心なしか暖かく感じます。
どうして胸がドキドキするんでしょうか?

―Fin―
 

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