屋根裏部屋

□最愛なる魔王様
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カシャカシャカシャカシャ・・・
泡立て気がボウルに当たる音だけが調理場に響きます。
私はヴィルヘルム様と並んで、ヴィルヘルム様のお城にあるお台所に立っています。実は、ヴィルヘルム様にケーキ作りのお手伝いをして頂いてます。お手数をおかけするのは申し訳ないと一度お断りしたのですが、「彼女の助力協力をするのは、男として当然のこと! 君一人に押し付けるなんて出来ねぇよ!」とおっしゃって下さったので、こうしてお言葉に甘えさせて頂いてる状況なのです。
「ヴィルヘルム様、こちらの生地をオーブンに入れて下さい」
「あいよ。時間は二十分で良かったっけ?」
「はい。お願いします」
ヴィルヘルム様にケーキの生地をオーブンに入れて頂き、私は出来たばかりの生クリームを運ぼうと持ち上げました。ところが、ボウルと中の生クリームが重くて、バランスを崩してしまいました。
「危なっ!!」
ドバシャッ!
転ぶ寸前にヴィルヘルム様に受け止めて頂いたものの、バランスを崩されて床にひっくり返ってしまいました。その際宙に飛んだボウルの中身が頭上から降り注がれ、二人とも生クリーム塗れになってしまいました。
「大丈夫か? 怪我は?」
「はい、私は大丈夫です。ヴィルヘルム様は?」
「俺も受け身取ったから平気だ」
私が落ちないように支えて下さいながら、床から起き上がられるヴィルヘルム様。
「ああ、生クリームが・・・」
せっかくヴィルヘルム様にも手伝って頂いたのに、ヴィルヘルム様のお洋服をこんなに汚して、生クリームを台無しにしてごめんなさい。
ペロッ
「ひゃあっ!?」
ヴィルヘルム様にいきなり頬を舐められて、びっくりして声を上げてしまいました。
「あ、あの、何を?」
「ん? せっかく作ったんだから、食わないともったいないだろ?」
「で、ですが、私なんかから直にお舐めにならなくても。その・・・」
私がこう言いますと、ヴィルヘルム様はご自分に付いたクリームを指ですくって舐められました。「うーん」と唸られてます。
「やん!」
また顔を舐められて、変な声が出てしまいました。
「シャルロットからこうやって舐める方が一番美味いよ」
「で、でも、あっやぁん!」
私の言葉を遮って、ヴィルヘルム様は私に付いた生クリームを舐められます。頬に、額に、髪に、首に、ヴィルヘルム様の舌が触れて、なんだか気持良くなってきました。
「あっ! はあん・・・みゃっ!」
その心地良さに体から力が抜けていきます。そんな私の様子にお気付きになられたヴィルヘルム様が、静かに床に横たえさせて下さいました。
「シャルロットも俺の舐めていいからさ」
「え? ですがっ! あん! ひゃうっ!」
ヴィルヘルム様に舐められる度に喘ぎ声が出て、ピクピクと体が小刻みに震えます。
首筋から鎖骨、鎖骨から胸へと舌が下りてきて、ドレス越しに胸を舐められて凄く感じてしまいます。
「あ・・・はう・・・ふあっ!」
もう片方も大きな手で撫で回されます。もっと触れて欲しいと思ってしまう私は、おかしいのでしょうか?
「あ! ああん! やあん!」
心地良い感触が突如止まりました。ヴィルヘルム様が私の体中に付いた生クリームを舐め終わられたようです。でも、ヴィルヘルム様にも生クリームが付いています。
こんなに良くして頂いたのですから、私も。
ペロッ
「ギュア!?」
ヴィルヘルム様のお耳に付いてるクリームを舐めましたら、ヴィルヘルム様が素っ頓狂な声を上げられました。
どうしましょう、お気に召さなかったかしら?
「あ、あの、すみません。ヴィルヘルム様ばかりにさせるのは申し訳ありませんから、私もと思ったのですが、お気に、召しませんでしょうか?」
最初はキョトンとした表情をなされていたヴィルヘルム様が、ふっと微笑まれました。そのお顔がとても綺麗で、見つめられると動けなくなってしまいます。
「ん!」
いきなりキスをされてました。
「そんなことねぇよ。ありがとな」
そうおっしゃられておでこにも軽くキスして下さいました。
「で、では、失礼します」
私は早速ヴィルヘルム様の頬に付いたクリームを舐めます。
「くはははは! くすぐって!」
ヴィルヘルム様がくすぐったそうにしましたが、ヴィルヘルム様の頬や耳、首に付いたクリームを夢中で舐めていました。もっともっと、ヴィルヘルム様に喜んで欲しくて。
気付いたら、生クリームを全部舐めていました。
「た、食べ終わり、ました」
「うん、サンキュー」
ヴィルヘルム様が言い終えると同時にオーブンが鳴りました。
「と、焼けたみたいだけど、すぐに出すか?」
「ええ、型から出して、冷ますんです」
「了解。俺が出してくるよ」
さっきの余韻で全身に力が入らなかったので、ヴィルヘルム様にお任せしました。ケーキは上手く焼けたようで、甘い香りが床に寝ている私のもとにも伝わってきました。
「このまま皿に置いときゃいいのか?」
「あの、乾燥しないように、ラップをかけて下さい」
「あいよ」
ケーキにラップをかけて下さったヴィルヘルム様が、床でぐったりしてる私を抱き上げられました。
「生地が冷めるまで、シャワーでも浴びてこようぜ」
私を抱き上げながら、ヴィルヘルム様は少年のように笑いました。
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