屋根裏部屋

□愛してるから
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「なあ、あいつらさ〜、いつになったら進展するんだろうな」
事の始まりはジョーカーのこの何気ない一言から。
彼の言う「あいつら」というのは、自分のボスであるヴィルヘルムと、その想い人であるシャルロットのことである。
ヴィルヘルムとシャルロットは、お互い好き合っているというのを知ってから付き合いを始めてもう一年。普通ならとっくにキス以上のことはしているだろうに、キスどころか手をつなぐのもやっとという有様。「初々しい」といえば聞こえは良いが、周囲の者達からすれば「さっさと先に進め!」とやきもきしてしまうのだ。
「さあネ〜」
「あの二人の調子から見ると、少なくともあと十年はかかりそうだな」
スマイルとユーリも呆れたような声で答える。ヴィルヘルムの幼馴染であるユーリには、彼の奥手ぶりが手に取るようにわかる。
「あーもう! あんのドヘタレ魔王! さっさとシャルロットとチューなりなんなりしやがれってんだ! じゃねーと俺達のが先越しちまうぞ!」
「そーそー、早くしないと婚期を逃しちゃうヨネ」
「ボスとシャルロット、結婚できないのか?」
「このままだとな」
「ふむ、結婚・・・『ケッコン』か」
ジャックの言葉にユーリが何かひらめいたようだった。
「ならば『ケッコン』させてしまえばいい」
「へ? でも結婚式を挙げさせたって、あいつのヘタレぶりだと」
「そうではない。古来の意味の『ケッコン』をさせるのだ」
「「「古来の『ケッコン』?」」」
ユーリ以外のメンツは頭に疑問符を浮かべた。
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