屋根裏部屋

□Sweet Poison
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パリーン!
「覚悟しろ吸血鬼!」
シモン・ベルモンドはいつものごとくユーリの居城の窓を割って突撃する。しかし、この後の展開はいつもとは違っていた。
ぶちゃっ!
「?」
着地と同時に何かを踏み潰したようだ。足を上げて確認すると、それはキノコのようだった。甘いにおいがふわりと鼻孔をくすぐる。
「っ!?」
と同時に手足が痺れ、その場に倒れてしまった。
「おやおや、前々から変わってるとは思ってたが、床で寝る趣味もあったとはなぁ」
シモンの討伐対象でもありこの城の主、吸血鬼のユーリがいつの間にか目の前に立っていた。
「ふぁ、ふぁんはひは! ひ、ひはは!」
舌も痺れてしまっているようで、呂律が上手く回らない。
「すまないがクロマニヨン語はわからんのだよ」
真面目に答えているのか、馬鹿にしているのか、ユーリはシモンにそう言い放つ。
ふと、ユーリの目はシモンの足元に飛び散ったキノコの残骸を見つけた。
「ああ、このキノコの匂いを嗅いでしまったのか。これはな、匂いを嗅いだだけで体が麻痺してしまう毒キノコなのだよ。食べなかったのは賢明だったな。もし食べていれば、あらゆる臓器に毒が回って麻痺し、死んでしまっていただろうからな」
言いながら一匹の蝙蝠にアッシュを呼びに行かせた。数秒ほどでこちらに駆け寄ってくる褐色の肌の狼男が見えた。
「うわ、大丈夫ッスかシモンさん!?」
「匂いをかいだだけだからさほど支障はないだろう。アッシュ、こいつを客用のベッドへ運べ」
「へ? どうするッスか?」
「キノコの毒を解毒してやるのだよ」
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