カオスの部屋

□寂し過ぎて
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「ハ〜デ〜ス〜さ〜ま〜」
「ペルセポネ、ペルセポネ、ペルセポネ、ペルセポネ、ペルセポネ・・・」
真っ白な書類を前に、ペンも手に取らずにブツブツと呟き続ける冥王ハデス。
今はまだ春、ハデスのかわいい奥様ペルセポネが帰ってくる冬までにはまだ時間があり過ぎます。
「ハデス様我慢して下さい、ペルセポネ様が帰っていらっしゃるまで日がありますから」
「ダメだ、一日一回彼女の笑顔を見ないと、声を聞かないと仕事も手に付かん」
「うっわあ・・・」
ハデスの深すぎる愛妻家ぶりに、ハルピュイア達もドン引きです。
「え、え〜と、とりあえずお茶でも飲んで休憩しませんか?」
「ああ! い、いいわね! 私頼んでくるわ!」
「ああ、私も!」
ハルピュイア達が全員飛んでいってしまい、残るはハデス一人だけです。

「ハデス様、お茶持ってきましたよ」
「って、いない!」
ハルピュイア達が手伝いの亡者達と部屋に戻ってくると、部屋の中はもぬけの殻。机の上には白紙のままの書類とペン、そして書置きが一枚乗っていました。
「−ペルセポネに会ってくる。留守をよろしく ハデス−」
「〜〜〜っ!! ハデス様ああああああ!!」
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