音楽の部屋2

□初めての外泊♪
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ヴィルヘルムがシャルロットを連れてきたのは、彼の行き着けの大きなゲームセンターだった。
「わあ、とても賑やかですね」
「人によってはうるさく聞こえるみたいだけど、大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
「よし、まずは何やりたい?」
「私、ゲーセンに来るのは初めてなので、ヴィルヘルム様のお好きなものを」
「んーと・・・お、これなんてどうだ?」
彼が最初に目を付けたのはシューティングゲーム。
「これは何ですか?」
「シューティングゲームだ。画面に出てくる敵を、この銃でドンドン撃ってくんだよ。まずはこれ持って」
シャルロットに銃型コントローラーを渡し、二人分のコインを投入する魔王。
「いいか、画面に出てきた敵を、このトリガーをこうやって引いて、撃つ」
慣れた様子でヴィルヘルムは画面の敵キャラを撃ち抜いた。
「やり方はわかったか?」
「は、はい」
しかし、そう言いながらシャルロットは構えようとしない。
「撃たないと、やられちまうぜ」
ヴィルヘルムが促しても、シャルロットは引き金を引かなかった。
結局ヴィルヘルム一人でシャルロットを守りながら勝ち抜いてしまった。
「なんで撃たなかったんだ?」
「だって、撃たれる方がかわいそうで・・・」
彼女の青い目に涙が潤む。その様に魔王はオロオロとうろたえる。
まさかゲームで泣かれるとは思いもしなかった。何か非暴力的でシャルロットにも出来るゲーム・・・。
ふと、彼の目に留まったのは、スロットマシン。
「あ、これはどうだ? これなら誰も怪我させたりしないぜ」
「これ何ですか?」
「スロットマシンだ。ほら、このクルクル回ってるやつがあるだろ? こいつを数字や絵が揃うように下のボタンで止めるんだ」
魔王が恐る恐る反応を伺ってみると、
「楽しそうですね」
少女の反応は好感的だった。安堵の息を吐き、ヴィルヘルムはスロット用メダルを購入する。
「シャルロットもやるか?」
「よろしいのですか?」
「いいに決まってるだろ。ゲームってのは、楽しむものなんだからさ」
「ありがとうございます」
二人分のメダルを購入し、並んで座ってスロットを始めたヴィルヘルムとシャルロット。
スロットにコインを投入した途端に凄まじい勢いで回るリールを、彼は糸も簡単に揃えていく。横だけではなく、両斜めにも。
任務で鍛えた動体視力をゲームに応用する魔王。
「わあ、凄いですヴィルヘルム様ぁv」
シャルロットが喜んでくれるので、さらに張り切ってしまう。
ふと気付くとメダルがポッド五個分も貯まってしまっていた。
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