短編集SS

□君のキスで解く魔法 
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そして少女の側に落ちている服を見つける。


―――この服は…!!


落ちている服の人物を思い出すと同時に背後から誰かの叫び声が聞こえた。


「いらっしゃらないんです!!王子が……ユリウス王子がいらっしゃいません!!」

ざわざわする使用人たちを流し、少女に向き直る。
彼女の中で全てが合致した。
深く息を吐くと、ビクリと震えた。
スッと少女の方へ手を伸ばすと優しく少女の肩に触れた。


「マリアンヌ様。……その手にいる……いらっしゃるのは、ユリウス王子ですね?」


彼女の言葉に少女は大きく頷いた。
そして気が緩んだのか次々涙が溢れる。


「ユリウス……兄さま……」


少女の手の中で気を失っている彼を彼女は困ったように見つめた。
思わずため息が出る。


―――とりあえず説教は姫が泣き止んでからだわ。


そう決めると彼女は集まった野次馬を追い返す事にした。


―――それにしてもユリウス様が、カエルとは…


思わず吹き出しそうになるのを咳払いで誤魔化す。

誰も夢にも思わないだろう。

この国の第一王子、ユリウスがカエルの姿になっているだなんて。
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