短編集SS
□君のキスで解く魔法
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「なにがあったの!?」
「さっきの爆発音…」
「敵襲か!?」
さっきの爆発音で集まって来たのだろう。
やけに戸の外が騒がしい。
その中で走ってきたのか息を切らしながら豪快にこの部屋の扉を開けた。
「マリアンヌ姫!!ご無事ですか!?」
もう齢80を超えるというのに姫の安否の為に猛ダッシュで走ってきた彼女はそれだけ姫を大事に思っていることが伺える。
彼女が姫の部屋の扉を開けると、電気はついておらず、嵐が去ったように物が散乱していた。
真っ暗な部屋のなか、僅かに差し込む月光で目当ての少女を見つける。
「マリアンヌ様…」
再び名前を呼ばれて少女は振り返った。
マリアンヌと呼ばれた少女は彼女の顔を見ると安心したのか表情を歪めた。
今にも溢れそうなほど涙をためている。
それでも泣くことをがまんしているのは自分の責任だと分かっているから。
「姫…さま?」
様子のおかしいマリアンヌに気付き、ゆっくりと近づく。
「ば、ばあや……どうしようっ……私っ!!」
近づくにつれ、思い詰めたように言うマリアンヌが胸の前で手を握っているのでなく、何かを守るようにしているのに気付いた。