ごちゃまぜ

□エスケープ!
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「どうして・・・・・・どうしてこうなったぁ!!!」


搾り出したような声をあげ、近くにあった木を殴りつける。

その振動で木に止まっていた鳥が飛び立ち、木の葉がパラパラと舞い落ちる。


「くそぉ…くそっ…」


悔しがる彼の肩に1枚の葉がくるくると踊るように乗る。

それをうっとおしそうに払うと、腰にかけていた剣を抜き素早く葉を貫いた。

勢い余って殴った木に剣が突き刺さる。

剣を突き刺したまま微動しない彼はただ地面を見つめる。



「………アイラっ……アイラっ、アイラ!アイラっ…!」


呪文のように名前を紡ぐと、同じように溢れだす涙。
重量に従って彼の目から真っ直ぐ地面に向かって涙が落ちる。

滲む視界のその先にキラリと光る物を捉えた。

突き刺さった剣から手を離し、しゃがみこむと光った物を拾い上げる。

見慣れた紋章。

胸に手を当てると、あるはずの紋章が無かった。


静かに紋章を握る。
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