短編集SS

□奏でる雅曲
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夕暮れ丘の上で二人の小さな影。

あたりはクローバーや白詰草などで埋め尽くされ、少し見下ろせば彼らが暮らす村が見える。

そこは二人の秘密の場所。



「私ね、奏の弾く三味線すごく好き。」


白詰草で花輪を作りながら笑った幼馴染。


「でも、まだ下手だって先生が…」


自信がなさそうにうつむく少年に、少女は完成した花輪を少年の頭に置く。


「そんなことない!すごく、安心する音だよ。」


頭に置かれた冠を直しながら、少年は笑う少女に笑みを見せた。


「ずっと聞いていたいよ、奏の音色。」


そういった少女にかすかな憂いが見える。


「旭…?」


瞬きをすればそれは消えたけれど。

その憂いの意味を、僕は数日後に知ることになる。
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