short-novel

□見つめられない
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「じゃ、俺はこれ見ちゃお。」

見ちゃおって、それ私の絵日記だってば!

「ダっ――ひゃ!?」

ダメ、と言おうとしたら、腰に浅見君の大きな手が回ってきて、引き寄せられた。

木の椅子を三つくっつけて座っていたから、お尻から落っこちるなんてみっともないことにはならなかったのは嬉しいけど。

私は、手の中からいつのまにか略奪したスケッチブックをめくりはじめた、嬉しそうな彼を見上げた。

さ、最近の浅見君は、……スキンシップが激しすぎる。

肩を並べて歩いていたのが、いつのまにか手をつないで歩くようになったし。

帰り道、どこであろうと抱きしめてくることもしょっちゅうだし。

機嫌が良いときは……き、キスしてくるし。

免疫のない私に、どうリアクションしてほしいのだろう?

「希美」

「ふぇ?」

いつのまにか下を向いていた私は、浅見君の声に驚いて顔を上げる。

と、また一センチもないほどの距離に、彼の顔が迫ってきていた。

私の心臓は、もう持たないかもしれない。

今にも破裂しちゃうんじゃないか、ってくらいに大きな音で、全力疾走してる……
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