□『ソメイヨシノは早く散る』
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お前に似合うと思った。










『ソメイヨシノは早く散る』









屯所内の桜が咲きはじめた。
毎年この時期になると屯所内は桜の花弁で埋めつくされ、部屋にも時々その花弁がひらひらと舞って入ってきて、洗濯物にも絡む。

そうなりはじめると、春がきたなと思える。

江戸の町にも桜並木では桜が風にのって舞っていて、そんな場所で花見をする人や、
眺める人で賑わう。


そんな場所でもやっぱり悪ィことを考える奴もいるもんだから、巡回は怠らない。





「あーあ…なんでこんな絶好の花見日和に土方の野郎と巡回なんでィ」





…よりによって巡回の相方は総悟だ。





「それは俺のセリフだ」



「チッ…今度志村誘って花見でもしようかねェ……」





“志村”





その名前が頭の中で巡る。
確か…去年の花見じゃ中々話せなかった。
いや、何も話すことなんざねェというか…
何話していいか分かんなくなっちまうというか……

アイツの前じゃ調子狂っちまう。

しかも最近気付いたが志村に近付こうとするもんなら、万事屋や総悟に邪魔されて中々近付けない。





「じゃあ後は任せたぜ土方」



「コラ待て。何処行く気だ」





巡回から抜けようとする総悟の襟を後ろから掴む。





「志村の家の巡回でさァ」



「んなのいらねぇだろが。あそこにゃ怪力女もいるし、近藤さんもいるだろ」



「いや志村の身体の…」



「お前何する気だァ?!」



「いやナニを……」



「猥褻罪で逮捕すんぞコラ!!!!」





しかし総悟は俺の隙を突いて人混みに紛れて足早に消え失せた。
きっとまた志村の家に転がり込むに違いねぇ。





俺は巡回ついでに近藤さんと総悟を迎えに志村の家へ向かう為、歌舞伎町へと足を向けた。





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