□『チャラい奴は意外とウブだったりする』
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時々いるんだけど、
時々いなくて、

最初は神楽ちゃんと会う度に言い合いはするし、最終的には殴り合いになってしまうから会うのはちょっと嫌だなって思ってたけど、

いつもそれを傍観してるだけの僕に、
飴をくれたり、
寒い時には隊服を肩に掛けてくれたりして、

実は会うの楽しみにしてたりするんだ。










『チャラい奴は意外にウブだったりする』









今日はたまたま神楽ちゃんが姉上と出掛けていて僕は一人。

空は雲一つない快晴で、家でお茶を啜ってるのは勿体なくて、妙に構ってくる銀髪のマダオを放っておいて町を散歩がてらに歩いていた。




別に行く気はなかったけど、
散歩ルートに公園があるため何気なく通ってみると、ベンチに見慣れたアイマスクを付けたあの人がいた。
近付いてみても全く起きる様子がない。

いくら晴れていても、まだ春までは遠い。
このままでは風をひいてしまう。

声を掛けようとした瞬間、グイッと手を掴まれた。
グイッと目隠しを目の上に上げると、瞳が合った。




「………新八くんかィ??」



「こんにちは沖田さん」





ぐっすり寝ていたのか、微睡んだ表情で僕を見つめてくる沖田さんが少し可愛く見えた。
僕が挨拶をすると沖田さんは上半身をお越し、腕を挙げて伸びをする。
…もちろんまだ手は握られたままだ。
それに気付いた沖田さんは、パッと手を離した。





「すまねェすまねェ…寝惚けちまってた」



「い、いえ…」





何故だろう…
まだ離してほしくなかったなんて思ってる。




「そういやぁチャイナは??」



「あ、神楽ちゃんは姉上と出掛けて、今日は僕一人です」



「そうかィ…」





少し険しい表情をした沖田さん。
もしかして神楽ちゃんがいないから嫌なのかな??
だって僕は神楽ちゃんと違って互角に争える力もないし、話すことも数少ない。



“つまらないよね…”



胸がツキンと痛む。





「??どうしたんでィ??」



「え??あ、や…な、なにも……」



「嘘ついちゃいけねぇさァ。顔色悪いですぜィ??」





そう言うと沖田さんは僕の額に手を宛てた。その手は少しひんやりしていて、
だけど額を手で触れられるのが凄く恥ずかしくて、体温が上がっていくのが自分でも分かった。





「…大変でさァ!!!!火傷するくれェあちー!!」



「んなわけないでしょーが!!」



「いやこれは風邪でさァ。ちょうどいいや、俺が薬持ってまさァ」



「いいですよっ!!」



「おとなしくしなせェ…」





沖田さんはベンチから立ち上がり、
両手を握られる。

あれ、コレおかしくない??なんて思ってるうちに、フッと唇に柔らかいものが触れた。



それが沖田さんの唇だと気づくのにそう時間は掛からなくて、
離れようと思ったけど、キツく手を握られていて無理だった。





「っな、なに…」



「風邪は人に移したら治りまさァ」



「そういう問題ですか?!」



「何々まだしてほしいってかィ」



「いらんわァァァァー!!!!!」





僕は沖田さんの手を離し、公園から出ようとした。





「新八くん」



「っなんですか??」





振り返ると、隊服のズボンのポケットに両手を入れ、今までに見たことない優しい笑みを浮かべた沖田さんがいた。





「今度から一人で来なせェ。また俺のオモチャになってくれィ」



「っオモチャなんかになりません!!」



「毎日待ってますぜ」



「仕事しろこの税金泥棒ォォォォォォー!!」




不覚にも沖田さんのそんな表情に顔を紅くした僕は公園から走り去った。





“もう絶対公園に行かない!!”










そう決めた次の日に僕の足はあの人がいる公園に、自然と向かっていたのだった。





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