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□ホームランをもう一度!
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パッコーン


「・・・・・・・え、英二」(・・・・ホントに・・・見事な場外ホームランだよ。)


俺のパートナーが本日打ち上げたホームランはあわせて5本だ。
(お前は野球選手か何かなのか・・・)


「に゛ゃぁぁぁ〜何でっ何でぇー!?」
「・・・・・・はぁ」
(ほんとにコイツは・・・)
そう思いつつ英二の話を聞く。

「だってだってぇ!ボール追いかけるとこまではちゃんと見てるのにぃ〜!!」
「わかってる。打つ瞬間に落ちてくる花びらに気をとられて打てないんだろ?
・・・・だから昨日言ったじゃないか。」
「むぅ〜だって動くもの見たら反応しちゃうじゃんか!」

・・・ホントに動物的というかなんと言うかな。まぁこれもいい練習かな。

「わかったわかった。それよりボール、ついになくなったぞ。」
「えっ!?だって5個も持ってきたじゃん!」
「あぁ、あるぞ。フェンスの向こうにな。」
「そ、そんにゃぁぁぁ」
「だから、ほら英二。探しにいくぞ。」
「・・・・ふわぁーい。」


「大石ぃ〜もいっこ見つけたよーん!」
俺が2つで英二も2つ、あと1つだな。
「・・・確かこっちにいったと・・・」
思ったんだけど と思い辺りを見回しながら歩いていると桜の木の近くに人影が見えた。

(誰かいる・・・女の子かな)
「あっすいません。ボールこっち来ませんでし、た・・・・・か?」


彼女が振り向いた瞬間、
ひゅうっと風が吹き桜が舞い上がると同時に
全身に何か駆けるような感じがして息が一瞬詰まった。
舞い上がった花びらが彼女を包み、吹き抜ける風が彼女の髪がふわりと揺れた。
「・・・・綺麗だ」
ぽつりと思わず声に出してしまい、焦ったが
彼女には聞こえてなかったらしく、安心した。

心臓はまだドクドクと高鳴っている。

(・・・あぁ英二が待ってるな)

頭ではわかっているが体が固まったように動かない。その上もう少しこのままがいいと心のどこかで思っている自分がいた。

「大石ぃ〜見つかったかにゃ〜」
「へっ?ぁ、ああ!今行く!」
「えっと、どっどうぞ!」
「どっどうも「大石はやーく!!」


英二に引っ張られ背を向けたが
気になって、名残惜しくて何度も振り返りそうになった。













ホームランをもう一度
(あぁ神様仏様英二様!もう一度彼女に会わせてくれ!!)




コートへの帰り道「次は絶対ボールから目ぇそらさないかんね!」
と隣で意気込む英二に(お願いだからもう一本!)なんて言えないので
「あぁ頑張れ」なんて思ってもない事を言ってみた。
 

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