『日記にてSS』

□いたずら心
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最近、ヤマト隊長は仕事が忙しいみたいで…。

今日も任務から帰ってくると、机に向かって何か仕事をしていた。

暗部の方もあるから、仕事に関して詮索しないようにしてるけど、正直こんなに忙しくしてると気になる…。

「隊長、お茶入れたので一息入れたらどうですか?」

机に向かっている背中に声をかけた。

「あぁ、ありがとう。キリのいい所までやったら頂くよ。」

振り向きもせず、そう答えだけが届いた。

…一緒にお茶を飲もうと二人分入れたのに。
仕方の無い事だと分かっていても、どこか寂しさと苛立ちを感じた。

僕は隊長の背中に抗議の視線をおくる。
隊長は一向に気付く気配もない。

仕方なく「もう少ししたらこっちに来てくれるだろう。」と、期待しながらゆっくりとお茶を飲むことにした。

でも、その背中が向きを変えることは一向になくて…。

結局僕は空っぽになった湯飲みを「コトリ」とテーブルに置いて、今度は相手に気付いてもらえるよう大きく溜め息をついてみた。

…やっぱり、何の反応も無い。

やがて苛立ちは募っていき、このままじゃなんだかスッキリしない僕は、少し隊長にいたずらしてやろうと考えた。

いたずらと言っても、なんて事ないただ後ろから脅かしてやろうってだけのことなのだけど…。

そう思ったらなんだか楽しくなってきて、そうっと隊長の背中に近づいていく。

息を潜めて、気配を消して…。
仕事をしている背中へと近づいていく。

手の届きそうな距離まで近づき、「ガバッ」と隊長の大きな背中に抱きついた。

そして、隊長の耳元近くで囁く…。

「隊長、一緒にお風呂に入りませんか?」

耳元に小さくキスをして、相手の様子を伺った。

「!」

ビックッと身体を強張らせた次の瞬間、隊長の耳と首が面白いほど、どんどん赤くなっていく。

この一瞬の変化に思わず僕は吹き出した。

「た、隊長…、顔が真っ赤ですよ。」

クスクス笑いながらそう指摘すると、彼は恨めしそうにこちらを振り向く。

「サイがいきなりそんな事言うからでしょ。」

キスをした方の首筋をさすりながら、拗ねた口調でそう呟く。

やっと振り向いてくれた事を嬉しく思いながら、僕は隊長にキュッともう一度抱きついた。

「隊長が仕事ばっかりしてるからですよ…。」

そう小声で呟いて、隊長の背中から離れる。
さすがにこれ以上邪魔したら悪いし…。

「じゃ、僕お風呂に入ってきますね。」

何事も無かったようにそう言って、部屋から出て行こうと立ち上がった時、今度は僕の腕を隊長が引っ張った。

中腰の状態で視線を向けると彼はクスリと僕に笑いかけ、立ち上がって部屋の扉へと歩き出す。

「風呂、一緒に入るんでしょ?寂しいならそう言えばいいのに。」

ボソッと小声でそう言いながら、隊長は僕の腕を引いていく。

小声で言われたその言葉に、今度は僕が顔を赤くした事は言うまでもない…。



    −END−

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