『日記にてSS』

□夢心地
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「た…ただいまぁ…。」

今日も一日、里の修復作業に追われ朝から駆けずり回っていた僕は、やっとの思いで自分の部屋へとたどり着いた。

部屋に入ったとたん緊張の糸がプツンと切れ、その場に崩れ落ちる。

靴を脱ぐのも億劫で、とにかく今は何にも考えずに眠りたかった。
玄関のひんやりした空気が、疲れて火照った身体を包んでいく。

その心地よさに身を委ねながら、ボーッと天井を眺めていた僕の視界は、気付かないうちに暗闇へと落ちていった…。

どれくらい眠っていたのだろうか?
誰かが僕の名を呼んでいる…。

「…ト隊長。」

「ヤマト隊長。」

ハッキリと呼び声が聞こえ、僕の意識は少しだけ現実に引き戻される。
瞼を上げると、そこには優しく微笑むサイの顔。

「…サイ。」

どうしてここに??

ここ最近、お互い忙しくてろくに顔も合わせられない状態が続いていたのに…。
コレは夢?

夢であっても、こんなに嬉しい事はない。
手を伸ばして、目の前にある愛しい子の頬にそっと触れてみる。

白く滑らかな肌に触れたのは、もう何日前の事だろう…。

夢か現実か分からないまま、僕は目の前にあるサイの顔を見つめ続けた。

「サイ、…会いたかった。」

夢の中でくらい素直に気持ちを伝えたくて、普段めったに口にしない言葉を告げる。

「…。」

その言葉を聞いたサイは、ほんのり頬を染め少し恥ずかしそうに「…僕もです。」と返事をくれる。

ほら、やっぱりコレは夢なんだ…。
いつもの彼なら、恥ずかしがってきっと答えてくれない。

両の腕を伸ばし僕はサイの顔を自分に引き寄せ、彼の唇をペロッと舐めた。

ビクッと身体を強張らせ、顔がみるみる赤くなっていくサイの反応を間近で見つめ、今度は深く口付ける。

角度を変え、浅く深く柔らかな唇を堪能する。
下唇を甘く噛み、開いた口内に舌を差し込み彼の中を味わった…。

サイの荒い吐息が零れるたびに、僕の欲望は煽られていく。

「…まって、…ん…。」

サイの腕が力なく僕の胸を押しやる。
そんな可愛い仕草は逆効果だと言う事が分からないのかい?

いつもならサイを怒らせたくなくて、無理強いはしないのだけど、今日は抑えることが出来ない。
夢でくらい強引になったって罰は当たらないだろう…。

そんな考えに至った僕の行為は次第に大胆なものになっていく。
細い身体をギュッと抱きしめ、会えなかった時間を埋めるように隙間なく身体を絡ませる。
そして、彼の白い肌を確かめるようにそっと服の中に手を忍ばせた。

鎖骨のラインを指先で優しくなぞり、次第に僕の手の平は胸へと移動していった。
手の平で敏感な部分を優しく擦り、主張し始めた突起を指で軽く押し戻すように潰した。

「ん…っ。」

ビクンと指に反応する身体、小さくもれる吐息。
何もかもがリアルで、興奮する。

「サイ、可愛い…。」

雰囲気に酔いしれ、耳朶を甘く噛みながらそう囁き、執拗に胸への愛撫を繰り返す。


「…い、…いい加減にしてください!」

部屋中にひびき渡ったサイの罵声と共に、ひんやりとしたクナイが僕の首元に突きつけられた。

プツッとかすかに皮が切られた感触がする。
僕は一気に、現実に引き戻された…。

「あれ…?夢じゃ…。」

慌てて起き上がりサイの方を見ると、怒りに肩を震わす彼がいた…。

ヤバイ…どうしようか…。


         −おしまい−

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