『海と狐』

□**大人になる方法**
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いつから大人と呼ばれるようになる?

いつまでが子供?

大人になるにはどうしたらいい?

いつまでも守られてばかりの子供でいたくない…。

大切な人を支え・守れる力が欲しい。

気持ちは誰にも負けてないのに…。


************************

 「あんたって本当に子供ね。それじゃもてないわよ。」

草取りの任務中、サクラに言われた一言がグサッとナルトの胸に突き刺さる。

 「そんなこと無いってば。」

口を尖らせながらも、サクラに反論する言葉が見つからない…。
最近よく言われる言葉。今日もまた言われてしまった…。


 今まで気にしたことは無かったが、そんなに自分は子供だろうか?

 「ねえ、ねえ、サクラちゃん。俺ってばどこがそんなに子供?」

自分で考えても全く答えが出て来そうに無いので、サクラに素直に聞いてみることにした。

 「そうね、どこかと言われれば、ナルトの場合気持ちが顔に出すぎなのよね。うれしいとか、悲しいとか。全身で表現するところとか、抱きついて甘える所とか。深く考えないで行動するところとか。」

 「もういいてってば…サクラちゃん…。」

なんだか自分の全部が子供だと言われている気分になってきて、ナルトは少し落ち込んだ。

 そりゃあ自分は背だって低いし、歳だってたった12歳だし。カカシ先生やイルカ先生みたいに色んな知識だって、経験だって足りないのは分かっている。

 でも、自分ではアカデミーにいた頃より少しは成長したって感じていたのに…。
それすらも自分の気のせいなのかもって思えてきてしまう…。
…一人モンモンと考え込んでいたら、なんだかイライラしてきた…。


 「よし!俺ってば、今日から子供っぽい事はしないようにするってば。」

任務の帰り道、サクラに言われたことを思い出しながらナルトは一人決意をした。
まずは、今日言われたことから意識していこう。
顔に出さない。抱きつかない。考えなしで行動しない。
そしたら、子供ってみんな言わなくなるってば。

 「イルカ先生!ただいま。」

いつもの様にイルカの部屋の扉を開ける。
いつもだったらここで抱きつくところだけど、今日は我慢してみる。
大人になるためには我慢も必要だ。

 「お帰りナルト。今日も一日お疲れさん。」

優しい笑顔で迎え入れられると、今日一日の疲れもどこかにいってしまいそうになる。
ニシシと笑いながら、イルカの隣に腰を下ろす。
そこは、ナルトにとって一番落ち着く場所。

 「今日の任務はどうだった?」
 「今日もいつもと同じ、雑用ばっかだったてば。草取りとか、ゴミ拾いとか。いつもと変わらない。」

不服そうに顔をブーッと膨らませながら話を続ける。
すでにさっきの決意はナルトの頭から忘れ去られてしまっているらしい…。

 「俺ってば、もっと緊張感のある任務がしたいってば!!」

ムキーッと叫びながら足をばたつかせる。イルカに向かって叫んでも仕方の無い事なのは分かっているが、誰かに聞いてもらわないと気がすまない。

 「まぁ、落ち着けナルト…。みんなが通る道なんだから。」

ヨシヨシと、なだめるように頭をポンポンと叩かれる。その行為が子ども扱いされているようで、さっきまで忘れていた事をナルトに思い出させてしまう。

 「そんな事分かってるってばよ。俺ってばそんなに子供じゃないもんね。」
 「はいはい。そりゃ悪かったな。」

少し困った笑顔で、イルカはナルトの頭をクシャッと撫でた。
そんな行為も口調も子ども扱いされているようで、ナルトはますますムッとしてしまう。
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