another ss

□青年マイナス1:七つ上の場合
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あの願わくば消滅して欲しい金曜深夜から早くも二日が経過。
本日は月曜日です。
社会人がまた一週間仕事と戦う幕開けの日です。

ま、やる気なんか入るはずもなく。
さっきからパソコンに向かって溜め息ばかり。



(じゅうはち、じゅうはち、だいがくせい、おれはさらりーまん、)



七つも下のガキんちょに言い包められました。
しかもなんかそのまま流されてヤってしまいました。
さらっと好きだと言われました。
オジさんに片足突っ込んでるこっちからしたら心臓に悪くて仕方がない。

そもそも毎日ボールペンを駆使して紙と戦うリーマンのどこがいいんだ。
最近の若い子は謎だ、不思議で満ちてると思う。
気持ちだけで突っ走れるのなんて二十五までだよ。
二十五過ぎたら、好きってだけで告白なんか出来ないし。

先のことばかり考えなきゃならない。
結婚とか、家とか、子供とか、幸せになる計画を立てなきゃならない。



「眉間、皺すごいぞ。」

「うん、知ってる。」

「あの佐助が考え事かよ。」

「ちょっとねぇ…。」



会社の同期からすると、俺はまず考え事・悩み事知らずらしい。
確かにそうかもしれない、基本的に頭の中は仕事でいっぱいだ。



「どうしたよ、」

「私情だから気にしないで。」

「おまえの私情とか気になるっつーの。」

「………若い子にナンパされたの、」



途端と隣から、ぶっ、というお茶を吹く音。
きちゃないよ、しかも失礼。



「お、おまえが、ナンパとか、ダメだうける腹いてぇ!」

「笑い事じゃないの!」

「で?」

「………ヤっちゃった。」

「ケダモノ。」



そうです、俺はもしかしたらケダモノかもしれないんです。
だから今自己嫌悪中なんです。
初めて会っていきなりアレは無いよね、そんなのわかってるんだよ。

別れ際、胸ポケットに突っ込まれたメモはそのままにしてある。
きっとメルアドとか携帯の番号が書いてあるんだろうなって。
俺は卑怯者だ。
それきりにしたくないのに、それきりにしようとしてる。



「…チカちゃん、」

「んー?」

「なんか矛盾ばっかりなんだよね、…どうしよ。」

「…本気になるなよ、あとでダメージ喰らうのはこっちだぜ。」



そうなんだよ。
それでごちゃごちゃしちゃって仕事になんないんだよ。







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