another ss

□ジンに絞るライムのような関係 シュロ
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俺んちの日曜日の朝はおかしいとつくづく思う。



「のぶちか、朝飯できた。」



低く透き通った声が聞こえてきて、体を起こす。
本当はまな板を叩く包丁の音が響いてきた時点で目は覚めてたんだけど、今日は休みだから、部活もないから、布団から出たくなくてモーニングコールを待ってみたり。
のそのそとベッドから這い出てそこらへんに放ってあるスウェットをはいて部屋を出る。
寝る時はTシャツとボクサーパンツに限るよねっていう話を前にしたら、何言ってんだウチは寝衣だぜって言われてこの人んちは時間の流れがおかしいっていうのを知った。

階段をトントンと下りて洗面所へ行って顔を洗う。
新しいタオルで濡れた顔をがしがしと拭いて鏡を見ると、いつも通りの俺の顔だ。
タオルをそのまま首に引っ掛けてダイニングに向かうと、そりゃもう美味しそうな匂いに釣られて腹がぐう、と鳴った。



「わー、ホットサンドー。」

「吉川もう来るか? 焼くぞ?」

「くるくるーって、あれ、オヤジのは?」

「元親Yシャツ着て寝てた。寝不足なんだろ、寝かしとけ。」



政宗さんは、唯一ノックをせずに元親の部屋に入れる人だ。
俺や元就さんだってノックするのに、この人は勢い良くノブを捻って堂々を元親の聖域を侵すことができる。
あの部屋は元親のお城で、なんか分厚い本とかガンプラとか酒の瓶がゴロゴロしてる樹海で、中央で威張るキングサイズのベッドで寝ていいのは元親と子供の頃の俺と別れた母さんと政宗さんだけ。
どうして元就さんはダメなのかって聞いたら、そもそもアイツはここで寝ないって返された。

(…大人の事情にガキは足を突っ込むなってことなんだろーな。)


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