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□Mr.Doughnut!
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それは早朝四時半過ぎのことです。
世界の何処かにいるお母さん、俺の携帯が壊れました。
どうにも理解し難いメールが届いてしまいました。
確かにそれは平仮名でして、確かに俺は日本人なので読めるのですが、おかしいのです。
とにかく、おかしいのです。
俺は物を大切にする主義なので、携帯はぶつけない・落とさない・踏まない・投げないを守ります。
だから二年やそこらじゃ壊れないのです、どうやっても壊れるわけがないのです。
でも受信機だかディスプレイだか、どっちかが逝ったみたいなのです。
さすがに世の中は便利になりましたが、早朝四時半に携帯ショップは開いてません。
（どうしよ、俺、どうすればいいの。）
ここは何かの間違いだと信じて自制するべきですか？
それとも今すぐ家を飛び出すべきですか？
雄叫びあげて顔真っ赤にして道路を突っ走るべきですか？
（ああ、俺こんなキャラじゃないんだけどさ、うん。）
あのどうしようもないのがこの時間にこんなおかしなメール送ってくるのが悪いんだよ。
ヤダ、もう。
なんか悔しい、ちきしょう。
（今出てったとして、お弁当作って旦那起こして朝ご飯作って、…間に合わないかも。）
お弁当なんてこの際あるものと冷凍食品を駆使しちゃえばいいんだけど。
朝ご飯もそんな感じで何とかしちゃえばいんだけど。
どうにも、どうにも旦那の起こす時間に戻ってこられる自身がないのよ。
（だって絶対そんな易々と帰してくれるとも思ってないし、）
（俺だって乗せられたんだから簡単には帰ってやらない、ぞ、）
天使と悪魔が喧嘩しています。
いつも通りの朝を過ごすか、それともバカやってみるか。
だいたいなんなの、こんな時間に非常識じゃないですか？
でも非常識は俺もですよね、学校であんなことこんなことしてる身でね。
（何故せんせーたちにバレないんですかね、普通停学食らってるとかだよ。）
ああもう自分でなに考えてるかわからなくなってきた。
しかも悶々としてきちゃった、俺ってこんなにロクデナシだったっけか？
（深呼吸して、もう一回メール見て、やっぱり嘘じゃなかったら、）
（車に轢かれないように信号無視ノンストップで走ろう。）
せぇの、
今日は槍が降るんでしょうか。
それとも槍が生えてくるんでしょうか。
旦那が叫ばなかったりするんでしょうか。
チカちゃんが授業サボらないとかですか。
ナリちゃんが生徒会室で白目引ん剥いて昼寝だったりですか。
慶ちゃんが小食になったりするんですか。
竹中が咳をしないとかだったりですか。
片倉サンが野菜を枯らすんですか。
反則です。
反則だと思います。
（あいたい、って、なんだよ、何言っちゃってんのこの子！）
ジャージのまま上着と携帯と財布と鍵と、あと開けてないゴムの箱引っ掴んでダッシュ。
人生で一番ってくらいの全力疾走。
笑いたきゃ日本中で笑ってやって下さい、ネタにしてやって下さい。
どうせ政宗も俺もバカなんです。
END.