school ss

□マキロン
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俺様という生き物は非常にかっこつけ野郎なのです。
好きな人が視界に入ったら思わず頑張っちゃう性質なのです。
それで失敗して絶対周りに笑われるタイプなのです。

でも好きな人が微笑んでくれるなら、別にどんな理由でもいいよね。



「(なんでダンクなんかしたの?)」

「だって、やっぱり旦那が見てたら、いいとこ見せたいじゃない?」



百日に一回あるかないかのチャンスだったんだよ。
バスケ部より剣道部の方が早く部活が終わるなんて、普段ないんだから。
しかも旦那が超スピードで着替えて体育館まで来てくれたんだもん。
俺がバスケやってるの見たいって、わざわざ来てくれたんだもん。
(いつもは俺が格技棟まで迎えに行くからね。)
俺、チカちゃんとか慶ちゃんとか、こたよりも背は低いけど、跳躍力だけは自信あるんだよ。

ま、決めたはいいけど着地失敗してずっこけた自意識過剰バカです。

そりゃ盛大にやっちゃったよね、旦那の雄叫び聞こえたもん。
チカちゃん笑うし慶ちゃんも笑うし、コタは飛んできてくれたけど、他は誰も心配しないし。
(俺は後輩部員に愛されてない気がする、なんで?)
っていうかこういう日に限ってどうしてチカちゃんが部活に参加してるのさ。
明日絶対まーくんに笑われるんだよ俺、聞いたぜぇ?って話しかけられて。
最終的には何となくわけを察しちゃうナリちゃんにまで馬鹿者って言われるんだよ。

最悪!悲劇!俺こんなにヘタレでいいはずないじゃん!



「(佐助、とりあえず膝の消毒。)」

「んー。」



捻挫までいかなかったのが唯一の幸いです。
そのかわり思いっきり膝ぶつけて擦ったよね、超痛い、体育館の床は悪魔だ。

脱脂綿と消毒液を手に持ってる小太郎の指は綺麗、バスケやってるとか嘘でしょ。
俺の見てよ、絆創膏ばっかだよ、なにこの差は。
お互いめちゃくちゃ家事やってるのに、どうして俺だけ絆創膏なの。
器用さは互角のはず、もしかしてハンドクリームの違いとか?



「(滲みる?)」

「ううん、へーき。」

「(もうあんなことしないでね?)」

「どうだろうね、旦那見つけちゃったらまたドジするかも。」



ぽかんとした小太郎の顔は面白い。
俺は誰もいなくなった部室で思わず声をあげて笑ってしまった。

どうしてもね、旦那の前では張り切っちゃうんだよ、俺。
こっち見て欲しくて、格好イイって思って欲しくて、まぁそれが裏目に出るんだけども。
馬鹿馬鹿しいってわかってる、でも男の子だから。
大目に見て許してあげて、頑張ってるなって応援してやってよ。



「(最近考え方が少女マンガの主人公的じゃない?)」

「…そう?」



俺は不意打ちちゅーをしてくる小太郎の方がずっと乙女だと思うんだけどな。
っていうか俺、なんて恥ずかしい想像をひとりで繰り広げてるのさ!



END.



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