wars ss
□空は見ている。
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愛しているのならば、尚の事。
傍にいて欲しいなんて我儘。
弱さを埋める為の罪を背負うばかり。
頭を撫でて欲しい。
抱きしめて欲しい。
キスをして欲しい。
願うことをやめて幾月、毎夜男を買っては事を済ますだけ。
悲しさや寂しさに打ちひしがれて泣いた夕暮れ。
(俺は、汚れている。汚れていく。)
荒れた唇を隠すように紅をひく。
切れた端から広がる鉄の味。
あの日は雨だった。
土砂降りだった。
胸の隙間を隠すように人を斬る。
心の暗闇に負けないように、頭から血を浴びた。
(…強くなくては、いけない。)
どす黒い心は言う、愛することは罪だ、と。
じわりじわりと俺を侵していく。
だから、もう、
君への愛しさを裏切ることも罪になるとしても。
それでも、