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□ジンに絞るライムのような関係 シュロ
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俺んちの日曜日の朝はおかしいとつくづく思う。

オヤジの友達が朝食を作り、息子の俺とオヤジの"特別"な人の子がその人と一緒に朝食を食べ、オヤジ自身は後から寝起きで食事に参加する。
考えてみれば意味不明な状況だ、でもいつの間にかこれが当たり前になった。
けど別に問題はない、んだから、このままで構わない。



「ねぇ、元親サンと政宗サンってさ、ホントに親友なの?」



ホットサンドの最後の一口をコーヒーと一緒に飲み下した元春はぼそりと尋ねて、少し前に食べ終わった政宗さんと(食い意地はり過ぎて)高速で胃に収めた元親の頭の上にクエスチョンマークが浮んだもののすぐに消えた。



「マブだ、マブ。それ以外になにがあんだ?」

「なんかもっとこう具体的に答えてよ。」

「…ジンに絞るライムのような関係、だな。」



え、トニックじゃなくて? ライム?



「あー、それだそれ。別のでもいいけどやっぱコレじゃなきゃなぁってヤツ。」



がはははって豪快に笑う元親は嬉しそうだ。
でも俺にはやっぱりぶっちゃけさっぱりわからない。
ジンが元親? ライムが政宗さん? それとも逆?

アルコール度数28の辛口。オン・ザ・ロックのポピュラー。シンプルでドライでクリア。
"混ぜられずに、グラスに注がれているだけ。"
政宗さんがいろは坂のカーブの如く遠回しで伝えてきたソレを知るまで、俺と元春は4年を費やすことになる。


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