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□葵翔学園
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転校初日……

良い響き……

楽しみ……


なんて……今この状況で…


「琴世ー…」

「なん…ですか?」

「可愛いなーって…」

「眼科いきます…?」

「行かない。」


彼の名前は小鳥遊 馨。

ソファの上でドカッて座って膝の上に僕を乗せるこの人。



怖い…です……

どうしてこうなったのかと言うと……







―2時間程前―


ここが…今日から転校する……
葵翔学園…(あおと

大きい…

と…取り敢えず渡された紙通りに……


初めは荷物を置きに寮に…と……

紙通りに行動する琴世。

今思えば…行かなきゃよかった……


ここか…

普通のマンションみたい…

流石お金持ち学校…


コンコン

…?

コンコン




あれ……いないのかな…

紙には年上のルームメートがいるって…

まぁいいや。入っちゃえ。

帰ってきたら挨拶すればいいもんね!



遠慮なく部屋に入る琴世


あぁ…ここは豪邸か…

ははは……

寮とは思えない広さ…

個室もあるみたいだった


ここが僕の部屋かな…

一つ開けっ放しの部屋があり、その中は段ボールが数個置いてあった。



そうだ!

琴世は手のひらを叩いて段ボールを開ける

くーちゃん!

そう呼びテディベアを抱き締める

どうやら琴世の親友のようだった


琴世はくーちゃんを膝に乗せてリビングのソファに座る



ルームメート…

怖い人かな……

でも!僕にはくーちゃんがいるから!


そう言って一人で心をおちつかせる



数秒後それは見事に打ち砕かれた


「あ゙ぁ!?わかったわかった。着替えたらそっち行く。」


濡れた髪を拭きながら携帯で電話をする
下にジャージを着た上半身裸の男…


テディベアを膝に乗せてソファに座る
中学生の男



「「…………。」」


長い沈黙


先に口を開いたのは男だった

「誰。」

短っ!

初めての会話がそれですか?

「え…今日から転校してきた琴世です…」


「あぁ…なんか理事長言ってたな…」


「あの……」

「あ゙?」

「電話……切れてませんよ」

自分の心配よりも何故か相手の携帯を気にする琴世


「ぷっ…はははは!わざわざありがとう。」


初めは堪えていた男も笑い出した。

「俺は小鳥遊 馨。馨でいいから。よろしくな?琴世。」

電話をきった馨はまだ笑いながら言う。


「よろしく…お願いします…」


畜生。神様は意地悪だ。

こんな背み高くてカッコいい人がいるのに

どうして僕は背低いし童顔なんだ


「そう拗ねるなよ。な?」


「別に拗ねてません。」


「拗ねてる」

「ない」

「頑固。」


「うぅ……」

何も返せなくなる琴世。

なんかヤダこの人。


「で、この学園はどう?気に入った?」


琴世の横に座って

完全に拗ねた様子の琴世を抱き抱えて自分の膝に乗せて問い掛ける


「広いし綺麗です。って…何してるんですか」

「別にー」

完全に小動物を扱う感じの馨。

「降ろして下さいよ」

「断る」


「うぅ……」

またもやいいかえせなくなる

きっと自分はきっぱり言われるのが弱いのだと思う……




そして今に至ると……



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