ネクター
□日常編
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「あ、あの、高瀬さん!」
翌日、沢田君に声をかけられた。
あぁ、捕まった。
その瞬間、そう思ったのは間違えじゃなかった。
お、落ち着け私。
あれが沢田君だって決まったわけじゃないし。
仮に沢田君だとしても「私は何も知らない」を通せばいい。そ
うだ、あの一瞬で彼だって私を認識できなかったはず。
「らしき人」や「似た人」で済んでいるはず!
「やっぱ昨日のお前だったのかよ」
「―――っ!!」
近づいて来て誰にも聞こえないよう小さな声でそう囁いた。
―――かなりドスの入った声で。
ってか、なんで声に出してないのに……!?
「オレ、読心術使えるから」
「な!?」
「読心術や昨日のこと誰にも言うなよ?言ったら……」
「い、言いません!」
……私は生れてはじめて悪魔を見ました。
普段クラスでは勉強も運動もできない同級生の男の子。
だけど、その本性はかなり恐ろしい悪魔だった。
そして数日後、そんな彼の元にイタリアから家庭教師がやってきた。
私がその家庭教師に会うのは沢田君が剣道で先輩を倒し、球技大会のバレーボールに出ることになった日だった。
(イタリアからやってきたアイツ)
to be continued…