Tennis
□未定
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「はぁ…」
明日は始業式。
新たな学年が始まり、最上級生として学校全体を引っ張っていく立場になるというのに、俺の口からはため息しかでてこない。
「クラス替え…嫌やなぁ…」
謙也と同じクラスで過ごした2年生、
1年の時はただの部活仲間ぐらいの存在だった謙也が、俺の中で『特別』になった年。
部活が同じでクラスも同じとなれば自然と一緒にいる時間は増えて、いつしか周りは俺らを『親友』と呼んだ。
今年度も謙也と同じクラスで、同じ時間を共有したい。
謙也の俺に対する『好き』が俺と同じ意味の『好き』では無かったとしても、
『親友』なら思い出は続く。
『恋人』なら思い出は遠く褪せていく。
たとえ一時でも大きな幸せを選ぶより細々と続く小さな幸せを選ぶなんて、
打算的な自分が痛々しい。