Tennis
□Je te Veux
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「…Je te Veux」
「…は?」
外が薄暗くなっている部活終了後、着替えている財前を待ちながらたわいもない話をしていると突然慣れない言葉を耳にした。
「ごめん、聞きとれんかったわ。もっかい言うて?」
「…Je te Veux」
「じ…?」
「…」
「えーと…Je te Veux?」
「っ…//」
財前の言った言葉を繰り返すと、最初に言った張本人は顔を真っ赤にして部室を出ていってしまった。
「Je te Veuxってなんやねん…」
残されたのは見知らぬ言葉と白石の置いていった部室の鍵。
あぁ、どうしたらえぇんやろう。
せっかく一緒にCDショップに行こうと約束をしていたのに。
俺のお気に入りのバンドがCDを出したから、って。
財前は何か欲しいモンあるんか?って…
ただでさえわかりにくい後輩が突然放った言葉。
これを一人で解決できるほど俺は優秀やない。
「Je te Veuxって多分どっかの言葉やんな…」
言語系ならあいつに聞くしかない。
発信履歴の一番上からあいつ…侑士の名前を引き出して、やけに長い呼び出し音に耳を傾けた。
『…謙也?どないしたん?』
「あ、ちょお聞きたいことあんねんけど…」
あなたが欲しい
(彼が駆け出すまで)
(あと1分)