World-X ワールドクロス

□World-X第一幕
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第二章 転校生は不幸体質?



あ〜あ〜果てしない〜夢を追い〜かけて〜ぇ〜(なぜかここだけ中途半端に覚えている by作者
……現実逃避している場合じゃないな。

紹介しよう!今、現実逃避をしていた少n ギロ いや、少女は郁土 来火。
先日、相棒の郁土 氷来にジャンケンで負けて結局この中学校に入学することになった哀れな少女だ!!

説明はありがたいけど哀れは余計だ哀れは。


「今日、このクラスに転入することになった伊久堂 来君だ。
みんな仲良くしろよー」


そして俺は俺が転入するクラスの担任に紹介されてるところだ。
……伊久堂 来って何かって?
偽名だ、少々単純だけどそういうのって案外気づきにくいし。
……危うく佐藤か田中そして太郎にされるとこだった。


「俺の事はライと呼んでくれ。
よろしくな!」


俺がそうにっこり笑って自己紹介をした。
こうなったらもうどうにでもなれだ。


女子1「――――――」

女子2「――――――」

女子3「――――――」


女の子達がコソコソと話をしていた、悪口かと思ったけど別に俺は気にしないし良いか。


――ちなみに女の子達の会話

女子1「見た!?マジでカッコいいよ彼!!」

女子2「うん、うん!
それに笑顔も綺麗で素敵だよ!!」

女子3「これはライ君ファンクラブを作らなくてはいけませんね……」


知らぬが仏。
ただでさえ性別を偽ることにイライラしている来火だ、
今の彼女達の会話を聞いたら間違いなく来火はこの辺りを焼け野原にしただろう。


「でセンセー、どの席に座れば良いんだ?」

「ああ、伊久堂はそこの窓際の一番後ろの席だ。
右隣にいる沢田は先週このクラスに転入したばっかだからな。
仲良くしてくれ」

「分かった、よろしくな“沢村”!!」

「沢田だ」

「い゛い!?」


先生はどこからともなく取り出したハリセンで俺の頭を叩いた。
よほど強く叩いたのか……地面がめり込んだぞ……(しかし無事)


沢田side


今日は転入生が来て先生が紹介して俺の隣に来ることになったんだけど……


「分かった、よろしくな“沢村”!!」

「沢田だ」

「い゛い!?」


転入生が俺の名前を間違えて先生がそれをハリセンで叩いたんだけど……
ってじ、地面がめり込んだーーっ!!?
俺は名前間違えられてもそんな気にしないよ!!
だ、大丈夫なのあの人ー!!


「いってぇーな!!
名前をちょっと間違えただけでハリセンで地面がめり込むほど叩くな!!
バカセンコー!!」


ま、全くの無傷ーー!?
むしろ先生に喧嘩売ってるし!!


「フム、必殺技の完成にはもうちょっと手首のスナップが必要か……」

「生徒を必殺技の実験台にすんなよ!!
てか人の話を聞けぇ!!」

「しかしご家族から“もし人の名前を間違えたらもう加減しないでぶっ殺…叩いてください”と言われてたんだが」

「……………………」


な、何だろ……物凄く悪寒が走るんだけど、
周りを見てみると他のみんなも同じ状況だった。


「そうかぁ……まぁたあ・い・つ・はぁ……!!」


伊久堂くんが怒り出して向かった先は……窓?
ち、近くの窓から飛び降りようとしているよこの人ーー!!


「おい、危ないから止めろって!!」


俺が止める前に前の席にいた山本が肩を掴んで止めた。


「大丈夫だ!ちょっくら一時間目と二時間目をフケてあいつをぶっ殺……燃やしに行くだけだから!!」

「何物騒なこと言ってるの君ー!!」


山本にだけに任せないで俺も手伝おうとしたけど、
俺と山本の二人がかりでも動いてくれなかった。


「先生からも何か言ってください!!」

「……そうだ伊久堂!!





フケるのは良いが一時間目は俺の授業だ、
それを受けてからフケろ!」

「(それも何か違うー!!)」


このクラスで一番の常識人 沢田 綱吉。
彼の心労はこれで終わらなかった。


「大丈夫でしたか十代目!!」

「獄寺くん!?」


騒ぎを聞き付けた獄寺くんが電光石火の勢いで教室に現れた。
そして今の状況を見て


「てめぇ!なに十代目に迷惑かけてんだ!!
果てろ!!」


ダイナマイトを取り出しこの狭い教室で爆破させようとした。


「ば、爆破するー!!」

「遅いぜ」


それは一瞬だった。
伊久堂くんが何かを呟き、


【     】

「っな!!」

「校庭が……」


気がついたときにはダイナマイトは校庭で爆発していた。


「それはここで使わない方が良いぜ。
俺だけじゃなく関係がない奴まで「うわああああ!!」……ありゃ?」


いま、関係ない人の声がしたよね……
えっと……もしかしてさっきのダイナマイト……


「…………………」

『…………………』


教室の全ての視線が伊久堂くんに集まっていた。


「あ……謝りに行ってきまーす」

「ああ、いってこい。
そしてそのまま逝ってこい」


逝ってこいって先生ー!?


「教師がそんなこと言って良いのかよ!?」

「い、伊久堂くん。
俺も行くよ!」

「困ったときはお互い様だもんな!」

「っち、十代目に感謝するんだな」

「ああ、ありがとな」


来火は手伝ってくれることに感激したが……


「……“沢寺”と“山田”と“獄本”」

「違うから!」


しかし名前を間違えるのはどうしても直らなかった。


「えっと……“沢本”と“山寺”と“獄田”?」

「それも違うから……」

「ライはおもしれーな!」


来火side


いやさ、さっきのダイナマイトに巻き込まれた人に謝るために校庭に“沢木”達をつれて四人で来たのは良かったんだ。
その時に会った奴がさぁ……


「あ、ライ。
もしかしてサボり?」


まじで最近…いや、朝っぱらから見たことがあるんだが
この白眼、黒髪ポニーテールの“青年”。
……でも朝っぱらはまだ少年だったよな?


「…………………」

「……ど、どうしたの伊久堂くん?」

「いや、ちょっとタンマ」


そう言って俺はあいつを掴んですみに(と言っても校庭だから丸見えなんだが)連れてった。


「どうしたのライ。
そんな怖い顔して」

「いやさ……どうしてお前が大人になってんだ?




氷来」

「ああ、コレのこと?
知り合いの駄菓子屋から薬を貰ったんだ」

「あ、あいつか……」


まあ、あいつならそんな薬も作れると思うが……
だがな!


「それがあるのならわざわざ俺がリスクを侵して
中学生にならなくても良かっただろうが!!」


それがあるなら俺は高校生でも良かったはずだ。


「ッハ!
COOLの綴りを間違える来火が高校生?
笑わせるよ!!」

「まだそれを引っ張るかぁ!!」


いい加減それから離れろボケ!!





「……で、どうしてお前がここにいるんだ?」


気を取り直して氷来に当然の疑問をした。


「知り合いなの?」

「……全力で否定したいけどな」


ホント……全力で他人のふりをしたい。


「失礼だな。
キミの正式な転入の手続きで来たのに、
終わったけど」

「そっか帰れ」

「わぁ、ひどーい」


本当に帰ってほしい。
ぜってーみんなに見られてるってこれ、
まだあの人達に見られてないうちにさっさと帰ってほしい。


「もう、ライが真面目に授業を受けてるのを見たかったけど……
分かった帰るよ」

「……ああ、どちらにしろ一二時間目はうけなかったけどな」


そうだ、そうだ、そうだった。




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