World-X ワールドクロス

□World-X第一幕
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第一章 五年後



「《っで!次はどっちだ!!》」

「《そこを真っ直ぐ行った後右に曲がって!!》」


あいつと会ってから五年後、
俺とあいつはあの研究所と似たようなことをしている研究所をぶっ潰していた。
俺達はあの人体実験で普通の人とは違う力を持った。
その力を使って俺達は戦っている。


「見つけたぞ、こっちだ!!」

「っち……【業火】形状は槍!」


俺はよく使う火の魔術……【業火】を槍の形にした。


「じゃあな!」

「ぐわぁ!!」


俺の姿を見た研究員の胸をその槍で突き刺した。
燃やす場所が増えてもあんま変わらないよな。


「退け退けぇ!この俺様の道を塞ぐんじゃねぇ!!」


立ち塞がる機械もさっきの研究員と同じように火の槍で壊して、
目の前の扉を蹴って壊して目的の人物を見つけた。


「お、いた。
ひょ「あっごめん」ぬわぁ!!」


名前を呼ぼうとしたら斬魄刀で切られかけた。


「色気ないなぁ……」

「余計なお世話だ!!
ってか何でいきなり切りかかった!!」

「キミがボクの名前を言いかけるからでしょ?
もし聞かれてたらどうするの?
バカでしょキミ」

「っう……」


そうだった……名前を知られちゃヤバイんだよな……


「分かったみたいだね。
……実験台にされてた人は?」

「ちゃんと逃がした。
顔は見せてない」

「まあ、こんな包帯グルグル巻きじゃ見れないよね」


こいつの言うとおり今の俺達は顔に包帯グルグル巻きで隠している状態。
特殊な包帯だから本人がほどこうとしない限りこれが外されることはない。


「んじゃ、逃げようか。
掴まって」

「おう!」


出された手を俺は掴んで目をつぶった。


「いい加減慣れたほうがいいよ?」

「それは分かってるんだが……」


なかなか慣れないんだよな……瞬歩、
使うのはこいつで俺は一緒に連れてってもらうだけだが。


「まあ、良いけどね。
よっと!」

「うわぁ!ひょ……ご、ごめん」


いきなりの瞬歩で慌てて名前を言いかけて今度は睨まれた。


「ハァ……で、何?」


「せめて一言だけでもいいから言ってくれ、
心の準備が……」


どうせ聞かない可能性の方が高いが言うだけ言う。
こいつの事だ言わないと言わないでどうして言ってくれなかったの?とかぜってー言う。


「分かった」


……あれ、素直に聞いた。


「……なあ、どうしたんだ?
いやに素直だし」

「何言ってるの、ボクはいつでも自分に正直だよ。行くよ」


そう言って俺は肩に背負われた。


「え、ちょっとまだ心の準備が!!」

「一言言ったからもう聞かないよ」


そう言ってコイツは腹黒い笑みをした。
そ、そういうことかーーーっ!!!


「や、やっぱ力を温存して普通に行こうぜ!」

「えーだって時間が無いんだよ。
時間は短縮しないと♪
逃げないでね♪」


逃げようにもしっかり掴んでるし!


「せーの!」

「ぎゃあああぁぁぁ!!!」


研究所の近くの森、俺はそこでダウンしていた。


「あれくらいの瞬歩で酔わないでよ」

「あれはくらいじゃ済まねぇよ……」

「キミが抵抗するから余計でしょ?」

「……………………」


こいつの言うとおりなので反論が出来なかった。
無理に離れようとして落ちたからな何回か。


「そうだ、データは?」


元々の目的を忘れてた。
研究所を潰して回ってはいるが今回はある組織の依頼もあったからな。


「ちゃんとデータ取ったよ。
キミじゃあるまいし……」


失礼なことを言ってるが反論する気力がないので今回は気にしないことにする。


「これでボンゴレの依頼は終ったよ」

「いつ渡すつもりだ?」

「明日」

「……随分急だな」


いつもなら遅くて1ヶ月、早くて一週間なのに……


「出来るだけ早い方が良いんだ」

「まあ……別に良いけどな」


大分気分が良くなったので立ち上がった。


「じゃあ、帰るか“氷来”」

「……そうだね“来火”」


俺達は知らなかったその時俺達を見ている奴等が居たことを。


「……アイツは死神?」


――次の日


「氷来……聞きたいことがあるその手にあるのは何だ?」

「スーツ」

「……男物か?」

「うん」


氷来は何当たり前のことをと普通に言った。


「……それを俺が着ろってか?」

「うん」


氷来はさっきと同じように言った。
ただ一つ違かったのは……


「だってカッコいいじゃん」(ニコニコ)


氷来が物凄く腹黒い笑みをしていたことだけだ。


「ひょーーきぃーてめえ表に出ろぉ!!!」

「イヤだな……
ボクは来火を誉めたつもりだったのに……」


氷来は心外だとにこやかな腹黒い笑みで言った。


「ぜってー誉めてねえだろ!
全くもって誉めてねえだろお前!!
てかそんな腹黒い笑みをしてたら説得力全然ねえよ!!」

「まあ、そんなことどうでも良いから、
早く着ろ

「命令形!?」


結局氷来の腹黒い笑みに負けて着ることになってしまった。
まあ……それでも顔に包帯巻いてるから大丈夫か。
その後黒服に連れられてリムジンに乗ったんだが……俺何かしたか?
いや氷来も同じ格好だし……


「《氷来》」


見たところ周りにいるのはただの人なので魔術で氷来との回線を繋いだ。


「《!?……来火、いくら近くにいるのが魔術を使わない人間でも迂闊に使わないで》」

「《それは分かってる……でもこの状況は何だよ》」

「《この依頼の条件だよ。
依頼の報告は直接本人が会ってするってね》」

「《はぁ!?俺そんなこと聞いてねえぞ!!》」

「《当たり前だよ、言ってないから》」

「……………………」(ブチ)


こ、こ・い・つ・はぁ!!


「ひょ「着きました、降りてください」……」


キレようとしたら黒服が口を挟んだ。
いや、向こうはこっちの事情を知らなかったんだし、しょうがないよな……
お、落ち着け俺……
だが、氷来ィ……後で覚えとけ。
例え神が許さなくてもこの俺様が許さない。(どちらにしろ許さないのか


「《……後で好きなものを作ってあげるから機嫌なおしてよ》」

「《……ハンバーグとオムライスとカレーライス》」

「《了解》」


しかしすぐに買収された来火であった。
てか今言ったやつ全部食べる気か。


「《……なあ、マジで何これ》」


俺の目の前にうつってるのは大量の黒服を着た奴等。
え、俺達何かした?


「……随分歓迎されてますね」

「ひぃふぅみぃ……数えきれねえ」


映画で見たマトリックス並みにいるし。
そして部屋の中心にその人達はいた。


「あなたがボンゴレ九代目ですね。
依頼されていた研究所のデータです」


氷来はこの状況に物怖じもせず九代目に話しかけた。


「ありがとう」


九代目は礼を言った。
……でもどうしてこんなことを?
ただデータを渡すだけならいつもどおり手紙でも良いはずだ。


「九代目……ボクたちをこの場に呼んだ理由があるんじゃないですか?」


氷来も俺と同じことを考えていたのか九代目に問いかけた。


「……君の想像するとおりだよ。
私は君達に頼みたいことがあってこの場に呼んだ」


その言葉を聞いて俺と氷来はすぐに動けるよう身構えた。
俺達の様子に周りにいる黒服達も身構えるが九代目はそれをとめた。


「……誓って言う。
君達を利用するつもりはない。
ただ……頼みたいことがあるんだ」


そう言う九代目の目に偽りはなかった。
俺は少しだけ警戒心を解いた。
ふと横にいる氷来を見ると氷来も俺と同じことをして目があった。
そして俺達は頷いた。


「……それは何ですか?
話によっては聞き入れますが」


この人は……信じても良さそうだ。



「つまり……あんたの息子。
十代目に試練を与えるために俺達は十代目と戦うのか」


しかもただ戦うんじゃなくて敵……俺達を悪者にして戦うわけか。
そう九代目の隣にいた男に言った。
こいつは沢田 家光、ボンゴレ十代目である沢田 綱吉の父親である。




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