World-X ワールドクロス

□World-X第一幕
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第四章 どっちもどっち



「あんにゃろ〜!
あ〜〜思い出してもムカムカする〜〜!!」


なら思い出さなきゃいいだろと思うがそこは口に出すな。


「結局、マフィアに勧誘されたことを言いそびれたし!」


これで何で言わなかったのって聞かれたら俺はお前のせいだ!!
ってぶちギレてやるからな!!


「……しかし、夕飯どうすっか」


そうだった、よくよく考えてみたらご飯は完全に氷来に任せてたんだよな。
冷蔵庫にそれなりのストックはあると思う……
いや、氷来は俺をイビることに生き甲斐を感じてる奴だ。
ストック何か残してるわけねぇ。


「……一応保険で食料買っとくか」


そう思って俺は近くのスーパーに寄った。


「お、けっこー新商品でてるな」


カップラーメンがある棚の方に行くと俺がまだ食べたことがないカップラーメンが大量にあった。
……これは全部買いだな。


「腹黒居ぬ間に買って食べるか」


カップラーメン大好物なのに氷来がいると健康に悪いって言って食べさせてくれないんだよな……
今の所持金は……おし、全部買える。
俺はカートに棚にあったカップラーメンを全部入れてレジに押して行った。


「カップラーメン♪
ラーメン♪ラーメン♪
カップラーメ……ん?」


大好きなカップラーメンを買えることにルンルン気分だった俺が見たのは、
カートに唐辛子やら西洋辛子やらタバスコやら、
辛味系の調味料を大量に入れている蒼い髪の青年だった。


「……………………」


アイツ……商品棚にあるやつ全部買う気か?


「おい、お前」

「ん?何だ貴様は」

「ただの通りすがりだ、
それよりお前、商品棚にある辛味系調味料を全て買う気か?」

「……何を当たり前なことを言っているのだ、
全部買うに決まっているだろう」


……この量を全部?


「お前、その辛味系調味料を買いたい人の迷惑を考えろよ、
全部買ったら迷惑だろ」←棚にあったカップラーメンをカートに全部入れた人

「何を言っている!
この世の辛味は全て俺の為にある!
それなら俺に食べられるのが本望だ!!」

「自己中過ぎんだろ!?
別にお前に食べられるために作られた訳じゃねぇよ!!」


目の前の子供はこの俺に言った。
生意気な……この俺にそんな口を聞くとは……
……というより


「……そういう貴様はその大量のかっぷら〜めんをどうするつもりだ?」

「カートに入れてんだから買うに決まってんだろ」


子供は何を当たり前なことを言ってんだと俺に言った。


「き、貴様!
そんな大量にかっぷら〜めんを買ったら他の客の迷惑ではないか!!」←棚にある辛味系調味料を全て買おうとしてる人

「知るか!
こっちは今まで食べれなかったんだよ!!」

「な……そんな自分勝手な理由が許されるはずはない!!」


かっぷら〜めんが一人の人間に独占されて良い訳がない!!←辛味系調味料を独占しようとしてる人


「そもそもそんなに大量のかっぷら〜めんを買ってもすぐに食べられんし、
後でまた買えば良いだろ!!」

「な……こんな量普通三日で食べきれるだろ!!」

「……は?」


……この量がたったの三日?


「貴様、その量をたった三日で食べきるのか?
というか食べきれるのか?」

「朝昼夜のご飯全てこいつなら簡単にいける」

「一回の食事に何個食べる気だ貴様!?」


塩分の取りすぎで死ぬぞこの子供。


「だったらお前はその調味料どうすんだよ!
調味料はそんな直ぐには無くならねぇよ!」

「何を言っている!
こんな量三日で無くなるに決まっているだろう!!」

「三日ぁ!?」


無理だろこの量を三日って……


「おまっ……一回の食事にどれ程の調味料を使う気だよ!?」

「下準備にそれぞれ五個、
作るのにそれぞれ十個、
隠し味にそれぞれ二十個
完成したあとの仕上げに三個、
それが一品一品、別々だ」

「み……味覚音痴か……」


てかいつか死ぬぞその食生活は。


「そんな自殺行為な食生活止めとけ!
いつか死ぬぞ!?」

「貴様に言われる筋合いはない!
むしろ貴様の食生活の方が自殺行為だ!」

「俺の食生活のどこが悪いんだよ!!」


悪いところなんてどこも無いし!


「食を冒涜しているかっぷら〜めんなんぞを食べてる時点でだ!!」

「あ、蒼〜〜どうしたん?」

「カップラーメンをバカにするなぁ!!」

「あんな健康に悪い食品を馬鹿にして何が悪い!」


一個食べきるだけで一日の取らなきゃいけない塩分を半分ぐらい取ってしまうんだぞあれは。


「辛い調味料を使いまくってる料理よりカップラーメンの方が美味しいし!!」


味が“辛”の一択しかない料理よりはまだ選択の幅がある!


「それにそんな食べ物食べてたら間違いなく健康に悪いに決まってんだろ!!」

「貴様がそれを言うなぁ!!」

「……おーい、わたしの声聞こえとるか?」

「お前がそれを言える立場か!?」

「貴様だって言えないだろう!」

「そ〜う〜?」

「何だ!貴様さっきからうるさ…い……ぞ……」

「………………」


俺と奴はさっきから俺達を呼んでいた存在に目を向けた。
……俺はてっきり店の人だと思い、睨んで追っ払おうとした。
しかしそこにいたのは……


「なんや蒼?
そんな鬼を見たような顔をして〜?」



そこには…………鬼がいた。


「は……はやて!!?な、なぜここに!!」

「買い物や、
わたしが買い物に出かけちゃあかんか?」

「べ、別に悪くはないが……
いや、貴様はまだ足が動けたばっかなのだろ!」

「せや、だからリハビリを兼ねて買い物に出かけたんや」


余計なことをはやてにあう確率が高くなってしまった……
……今、目の前にいる奴は八神 はやて俺にとっては妹のような存在だ。
あるロストロギアの所有者でそのせいで命の危険に陥った少女でもある。
最初に会ったときは心優しい少女だった
だがはっきり言おう、今のはやては人間の顔を被った鬼だ。


「蒼、何か今失礼なこと思ったな?」

「お、思ってない!」


……本当にこいつは苦手だ。


「………………」

「そして待て貴様!こっそりこの場を離れようとするな!」

「!!」


逃げようとした子供の肩を俺はがっしりと掴み引き留めた。


「なぜ逃げようとした?」

「いや……だって俺関係ないし」

「そうや、蒼。
アンタの罪を人に擦り付けたらアカン」

「俺は悪くないであろう!
悪いのはこいつだ!!」

「ガキかアンタは!」


はやてははりせんで俺を叩いた。
って……


「貴様それをどっから出した!?」

「細かいことは気にしちゃアカン!!
覚悟!!」

「ま、待てはやて!!」


最後の賭けで俺ははやてを止めた。
……下手をすると俺はこれより酷い目にあうが……


「俺が貴様を無視したのはこの子供の食生活があまりにもひどいからだ!」

「……へ〜?」


な……なぜだ?
なぜ皆して俺が言うなと目で語るのだ!?


「き、聞け!はやて!
この子供はあの大量のかっぷら〜めんを三日で食べきる気だ!
そんなことをしたら健康に悪いのは百も承知であろう!!」

「え゛……あのカップラーメンを?」

「うん、そいつの言うとおりだ」


はやては隣にいた子供に聞きその子供は即答した。


「っく……蒼と同じくらい健康に悪い食生活をしている人がいるなんて……」

「え゛……こいつよりはましだろ」
「え゛……この子供よりはましだ」


彼らはお互いを指差した。


「アンタらいっぺん自分の食生活を見直してこい!!」


そしてはやては渾身の力を振り絞り、
子供は右から、俺は左から二個のハリセンで横に叩かれ……


「い゛だ!?」
「があぁ!?」


そして俺達はお互いの頭をぶつけた。


『〜〜〜〜〜〜〜』

「ふん!海よりふかあああぁぁあく!
反省するんや!!」
『は…はい……』


俺も子供もはやての背後にあるオーラが恐ろしくて口答えが出来なかった。
……恐ろしい、やはり奴は鬼だったか。




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