World-X ワールドクロス

□World-X第一幕
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「別に俺達は構わないが、
いったいお前達に何のメリットがあるんだ?」


俺は純粋にそれが疑問に思った。
聞いたところによると十代目ファミリーはそれなりに修羅場を潜ってるし、
わざわざ俺達と戦わなくても良いと俺は思う。


「ホントにキミはバカだよね、
ちょっとはその少ない頭で考えてよ」

「……お前にバカと言われる筋合いはねえ。
俺の勝手だろ」


落ち着け俺……これは氷来の策略だ。
KOOLだ……KOOLになるんだ俺!


「綴り違ってるよ。
そういうところがバカなんだって」

「人の心を読むなぁ!!
この腹黒外道性悪やろ「なんか言った?」な、何でもない!!」


俺は長年氷来に言いたかったことを言おうとしたら氷来に睨まれて言えなかった。
情けないとか哀れとかって思うんじゃねえ!!
とくにそこの黒服共!!哀れんだ目で俺を見るなぁ!!


「その頼み、引き受けますよ」

「《そんな簡単に引き受けて良いのか?》」


てかこいつの事だから裏があるんじゃないかと疑ってしまうんだが……


「《だっておもしろ……何か事情があるみたいだし》」

「《お前いま本音言いかけたよな!
おもしろいって言いそうだったよな!!》」


やっぱあったよ裏!
てか俺こいつの楽しみにまた巻き込まれたよ!!
いやでも俺じゃ氷来には敵わないし……


「……はぁ」


また諦めるしかないわけだよな……


「《ため息つくと幸せが逃げるよ》」

「《てめえがため息の原因だよ!
てか分かって言ってんだろ腹黒外道性悪氷来!!》」

「それでボクたちはどうやって彼らに接触すれば良いんですか?」

「《無視すんじゃねえええ!!》」


俺が勇気を持って言った言葉は見事、氷来に無視された。
……さっき睨まれた原因は俺が“野郎”って言いかけたからか。


「出来ることなら学生となって彼らと共に過ごしてほしいのだが……」

「あいつら確か中学生だろ、
俺達、高卒の資格持ってるけど良いのか?」


てか学校自体あの人達を思い出すから行きたくないんだよな。


「でもキミは小さいから中学でも大丈夫だよ」

「お前も同じだろうが!
たった一ミリ高いだけで調子に乗るな!!」

「たかが一ミリで煩いし身長なんて関係ないよ、
それにどうせキミは学校に行きたくないから反対してるんでしょ?」


うげ……バレてる。
……こうなったら開き直るか。


「身長の話を持ち出したのはお前だろうが!
あと、お前の言うとおり学校に行きたくない!」

「不良……いやニートか」(ボソッ

「聞こえてんぞてめぇ!!」

「でもさぁ……COOLの綴り違ってる時点でもう一回学生になっとこうよ。
てか人生自体やり直せ」

「CをKに間違えただけで何で人生やり直すんだよ!!
てか1ページ前のことを掘り返すな!!」

「……何で学校に行きたくないの?」


いつもならすぐに引き下がるのに、
今回は引き下がろうとしない俺に疑問を抱いたのか氷来は聞いた。


「学校に行ったらあの人達を思い出すからだ、
そして何より俺の第六感が告げている。
……学校に行ったら死ぬ」

「……九代目、彼らの行ってる学校はどこですか?」

「?……世界高校付属中学校「すみませんとても良い案でしたが個人的な都合で止めときます」


九代目の言葉が終わらないうちに氷来は言った。
何であの人達がいる学校にあいつらがいるんだよ!?


「すみません……ボクの調べでは彼らは並盛中学校に通ってた気がするんですが……」

「私の意見でね、彼らを一時的にあの中学校に通わせたんだ」

「それも十代目を鍛えるためですか……」


氷来の言うとおりあの中学校にいたら嫌でも鍛えられるよな……
何せ通ってるのは人族だけじゃないし。
……頑張れ少年、会ったことないけど同情するよ。


「先ほど言ったようにとても良い案ですけど、
ボクは違う方法で彼らと接触することにします」


まあ……それが俺達にとっても良いことだよな。
あれ……ボクは?


「なあ、俺は…「そのかわりこのバカを学校に入学させますから」ちょっと待て!!」


こいつ……人を生け贄にするつもりかぁ!!!


「どうしたの?
バカなんだからバカと言われてもしょうがないよ」

「それもあるけど今はそっちじゃねえよ!
何で俺だけ入学すんだよ!?」

「COOLの綴りを間違えた時点でキミの中学入学は決まってるんだよ!」

「勝手に決めるなぁ!!」


てか良いだろ別に英語間違えても!
意味が通じりゃ良いんだよ!!(通じないと思うが


「でも入学手続きしちゃったし」


…………は?


「はぁ!!?」

「そんなに喜ばないでよ」


いや、喜んでない。
その場にいたものはそう思ったが、
言うと恐ろしいことになりそうだったので言わなかった。


「い、いつの間に……」

「ついさっき」

「そんな素振りは感じなかったが……」


向こうも驚いてるよ……
閻魔様より氷来の方が断然こえぇ。
何者だよ氷来。


「人間だよ」

「人の考えを読むなぁ!!!」

「じゃあ、これからボクたちは準備がありますから。
連絡はこちらに寄越してください」


氷来はそう言って名刺を九代目に渡して、
俺を引きずってその場を離れた。
てかさ……


「俺を無視するなぁ!!」

「うっさい」

「がぁ!!?」


氷来に抗議をしたが殴られて気絶した。



***



「じゃあコレ」

「……なあ、その制服について聞きたいことがある」


で、アジトに戻ったんだが氷来が差し出した制服に違和感があった。


「何?」

「いやさ……氷来が持ってるのって明らかに学ランだよな?」

「うん、見て分からないの?」

「分かってるから聞いてんだろうが。
俺が聞きたいのは……」


俺は言おうとして言えなかった。
その事実を言うのは俺のプライドが間違いなく木っ端微塵に砕け散るからだ。
しかしこいつの性格からしてそれしか考えられない。
こいつの事だ……理由は面白いからなんだろな。


「氷来、お前、俺の事まさか……」

「うん、来火のこと男の子として入学手続きしたよ」(ニコニコ


そう、氷来は輝かんばかりの腹黒い笑みをして何の悪気もなく言った。
やっぱりか……何を言っても無理だけどこれだけ言おう。


「ふざけんなぁ!!!」


それは俺の怒りが爆発して発した一言だった。



――To be continued
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