Short story

□愛の形
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「あ、はい」


いつもの事だが、考え事をしていると本当に周りが見えなくなる。

…困りものだ。


「あのさ、明日って、何の日か知ってる?」

「……明日、ですか?」

「うん」


……何だ、この笑顔は。

さっきの笑顔とまったく違う。

何と言うか…、
何かを心待ちにしているかのような…。擬音語にしたら、キラキラ、と言ったら良いだろうか?

キラキラ……?
キラ…キラ…
キ、ラ……
キラ

…やはり私は間違ってなかった。

……じゃなくて、

……明日、か。


「2月14日、ですよね?明日は。……あ、バレンタインですか?」

「うん」


……………

……今とても月の顔をギッタンギッタンにしたい。
それ程の笑顔だった。


“月、お前の顔、やばいくらいにキモいぞ”

「…月くんがそんな事言うなんて、何か珍しいですね…。バレンタインがどうかしたんですか?」

「くれるよね?」

“…無視かよ”


………


「は?」

「だーかーらっ、くれるよね?」

「………何を?」

「馬鹿だなぁ。バレンタインと言えばチョコレートだろ?」

「………そうでしたね…」


……てめぇに馬鹿だなぁなんて言われたくない。

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