Short story

□角砂糖
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暫らくたって、ふと時計に目をやると2時46分を指している。

「月くん、そろそろ寝ませんか?明日も忙しいですし」
「……そうだな」
「……?…」

何か変だ。さっきから何か言いたげな顔をしている。

「あの、月くん、何か言いたいことがあるなら言ってください。気になります」
「…何でもないよ?」
「そんなハズがありません。この私にも言えないことなんですか?……恋人同士、なのに」
「っ、竜崎…」

何か悲しくなってきました…。月くん……。

「ごめん!竜崎…何か…恥ずかしくて」
「恥ずかしいことなんですか?」「……あの…」
「……?…」
「……キス」
「は?…」
「キス…してもいい?」
「……今更じゃないですか?」
「う…そうだ…けどさ」
「フ…」
「で、ダメ?」
「……」

私は合図の代わりにそっと目を閉じた。
唇に温かいものが触れた。すると、舌が遠慮がちに入ってくる。

「……ん…」
「……甘い」
「角砂糖ですかね?」
「竜崎の方が甘いよ」


――角砂糖よりも


顔が熱くなるのを感じた。

end
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