Long story

□僕はこの夏恋をした4
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「どうやら上手く撒けたみたいですね」

飄々とした顔でそう言う竜崎はあんなスピードで走った後とは思えない位爽やかだった。それに比べて僕は、

「…そ、…そうだ、な……」

と答えるのが精一杯で、肩で息をしている状態だった。

「大丈夫ですか?顔赤いですよ?」

と今まで繋いでいた手を離しながら、竜崎が僕の顔を下から覗き込んでそう言った。予想外の竜崎のアップにまた胸が高鳴ると同時に急に冷えた左手に寂しさを覚えた。

――僕は一体どうしたんだろう――

「あ、あぁ、大丈夫だ」
「それなら良いんですが…夜神くんを巻き込んでしまって、すみませんでした」

ペコリと頭を掻きながら下げる竜崎が意外だった。

「気にするなよ。それより竜崎、お前頭下げることが出来たんだな」

ついこんな事を言ってしまった。ひどい後悔に襲われた。

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