Long story

□僕はこの夏恋をした2
3ページ/3ページ


「……で?」
「は?」
「何しに来たんですか?」
「あ、あぁ、」

そうだった、僕はこの為に竜崎を探しに来たんだった。

「お前また授業さぼっただろ」
「…それが何か?」
「何か…って…お前が授業さぼるから先生に探してこいって言われたんだよ」
「御苦労様です」
「…」

竜崎はズボンのポケットからアメを取り出し、包み紙を剥がして赤いそれを口に入れた。

フワッと莓の香りが漂う。

「お菓子を持ってくるんじゃない」
「月君も要りますか?」
「要らないよ」
「そうですか」

そう言うと竜崎は立ち上がってズボンに着いた砂を手で落とした。

「そろそろ戻りますか。ずっと此処に居るわけにもいきませんし」
「誰のせいで此処に居ると思ってるんだ」

……と言いそうになるのをグッと堪えた。

「…そうだな……」

僕らは屋上を後にした。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ