Short story
□愛の形
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――2月13日――
本部へと続く廊下に、ペタペタという足音が響く。
キラ事件が始まり、それなりの時間が経った。
……キラ…
許せない。犯罪者とは言えども平然と人を殺し、罪の無い人迄をも簡単に殺している。
それは許されることのない、絶対的な悪だ。
しかし、未だにキラを捕まえられないでいるのも事実で。
そんなことを考えている時、もう一つの足音が重なった。
「竜崎」
「あ、月くん。お早ようございます」
「お早よう」
完璧な笑顔を向けてくるのは、今、私の中でのキラ像に一番近い夜神月だった。
「早いんですね」
「まぁね。早くキラが捕まってほしいし。捜査協力すると言った以上、出来るだけの事はしたい」
“ククク…キラはお前のくせに、よく言うぜ”
「(リューク、黙ってろ)」
「……そうですか」
……その仮面の下には一体、何が隠されているというのだろうか。
その笑顔の真の姿を暴くことは出来るのだろうか。
……時々、とてつもない程の不安に襲われる時がある。
こんな事は初めてだ。
命をかけるのも初めてだというのに。
「…竜崎」
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