Short story

□角砂糖
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「竜崎」
「はいなんでしょう月くん」


『角砂糖』


此処は捜査本部室。時計の針は午前2時23分を指している。今、この部屋には私と月くんしかいない。他の人たちは既に帰ったか、自室で休んでいる。

さっき月くんに「もう寝ますか?」と聞いたが、まだいいと返されてしまった。今のところこれといった進展はなく、やることが特になかったので私は角砂糖を積み上げては食べ、月くんは文庫本を読んでいる。
角砂糖を積み上げる度に、文庫本を捲るたびにお互い繋がれている手錠が音を立てる。

「竜崎」
「何ですか?」
「…食べ過ぎ。太るぞ」
「甘いものを食べても頭を使えば太りません」
「…そうだったな」
「…?」

そう言うとまた月くんは文庫本に目を戻した。私も角砂糖を一つ摘み、口のなかに放り込んだ。

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