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□ちゃいろのきみ
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いつまでもいられると思ってた
ずっとお腹の中で眠っていられると
「そろそろよ。」
「「いやだ!」」
兄弟そろって反対した
「だってもうすぐ熟すもの。」
「「さびしいよ!!」」
笑い声が聞えて
割れる音がした
兄姉が干からびて
日の光から守ってくれた
妹弟がその身をどけて
場所をくれた
「「だってもういいんだ!!」」
自分達だけ先にいってしまった
置いていかれた
でもここまでされたら残らなきゃ
ちゃいろいあの子に気づかれなくては
追いかけたいのに
だから夜だけ
日が出ると逃げた
気付かれたくないから
夜
一時だけ
きみに会うよ
日が暮れると
母の着物を着て
会いに行く
いい匂い
きみは気付かない
このまま干からびてしまいたい
「初めまして。」
きみはこの姿を見ても
何も気にしない
きみでよかった
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