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□金貨
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一通の手紙が届く
送り主は知らぬ
宛名は合わぬ
その日から
私には違和感がつきまとう
いないのに
誰かいるようで
誰かに見られているようで
誰もいない
金貨はどこへやった
使用人は知らぬと言う
私の部屋には何もない
どこだ
どこに
金貨が来てから変わったのだ
金貨があれば解決しよう
あの女にそう言われた
金貨は左目奪うもの
金貨は磨り減り効果をなくす
磨り減らねば
お前は死ねぬ
死ねぬは不幸
生きる
と
死ねぬ
は
交えない
手を日にかざす
透けて見えるはあの金貨
ああここか
にやりと口開け
手は赤くなり
滴る赤を口につけ
やっと金貨に巡り会う
左目やけに
不自由で
思わず目蓋で覆うのは
誰かが恐れをなしたから
女は金貨を受けとると
そう言い私へ別れを告げる
金貨はどうする
女の家には金貨が山程
気づけば女に左目あらず
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