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□キミドリ少女
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冷たいのはなあに




丸い湖


深い水溜まり


手で掬い


私は凍える


なぜここにいるのかは忘れた


迷っただけかもしれない


喉の乾きを潤したいだけかもしれない






こんな冷たい水


きっと私は











怖くなり


湖に背を向ける


目の前には綺麗なあなた



はじめまして



あなたは驚く


私は見惚れる


湖によく似た瞳で


冷えきったように白い肌


禍々しいほどに


溢れ


枯れない


かぐわしい何かが


あなたから出でる


その正体はわからない


惑わされてしまう


その透き通った


触れた途端に凍りつきそうな


ああ


その肌に


手を伸ばせば


あなたは哀しい


手を止める


手を下ろす


あなたは哀しくならない







二人並び


湖に向かう


濡れない程に近づき


腰を下ろす


目を覗きこむ度に


あなたは


あなたは哀しむ


私はあなたを見なくなる


何も話さず


あなたは


私のキミドリを掴んで放す


あなたが触ると


キミドリは


凍るかと思ったけれど


キミドリは


キミドリのままだった


手も握らずに


二人で過ごす













なに


あなたが尋ねる


なに


私は尋ねる














どうしたいの


あなたは尋ねる


あなたといたい


私は答えた











ずっと


あなたは尋ねる


どうして


私は言う












私はあなたを見る


あなたは私を見る













湖に鳥が着水する


波紋はたたない


湖は凍る


鳥は


湖に閉じ込められる


湖を閉じ込める







あなたは驚く


私は涙を捧ぐ




キミドリは置いていこう


あなたは残念そうな顔をした



私は微笑み


キミドリ少女は


あなたの少女になった



冷たい手を繋ぐ


温まらない



二人は笑う



湖を踏みつけながら



ひびを入れながら



鳥は



近づいても



名前はわからなかった





鳥の周りを二人で歩く


名前を知らぬ鳥のふりをして


鳴きながら歩く


鳥を閉じ込めた


鳥が閉じ込めた


氷が割れる


鳥は飛び立つ



二人は掴まり


空へと向かう






小さくなるキミドリを見つめながら


二人は鳴き声をあげた



鳥も鳴く






ねえ


あなたはだあれ












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