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□白
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寒さに眠気を誘われて寝入ってしまった村人
私はその横に立ち眺めている

この老婆に呼ばれたのでただいる



シロさん



いつのまにか村人達に呼ばれ出した名前
気に入ったわけではないが
今まで呼ばれることがなかった自分には
その呼ばれるという事が好きだから
気に入らずとも受け入れていた


シロさん
寒いねえ




眼前にいる老婆は
眠る前にそうつぶやいた



村人は雪に纏われると必ず自分を呼んだ
その声は雪の中に潜む自分のところへ届く
あるときは山の頂上にいたのに
山の麓からの声が聞こえてきた
だからどんなときでも自分は呼ばれれば駆け付けた




シロさん
おやすみなさい




どの村人も眠りに付く直前
最後にはそう言った
だから自分も


おやすみ



と返した
そして雪の布団をかけてやり
自分もその隣で眠った



そうすると雪の止んだ頃に村人達がぞろぞろとやってくる
そして布団を見つけるとすぐに破って
眠っている村人を起こした


いつも目覚めない村人は
そのまま連れていかれる


自分はそれを横目に見ながら
次に名前を呼ばれるときまで
ぐっすりと眠る


夢に見るのは
先程まで隣にいた村人
ひたすら会話を楽しむと目が覚める
目をこすっていると名前を呼ばれた




シロさん









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