w
□聖剣
1ページ/1ページ
一振りの剣が少女により守られていました
いつかくる危機のためそこにいる剣は
少女の母を愛していました
剣は少女へ囁きます
もう一度お前の母に会いたいのだ
一度だけでいいから目の前に連れてきてはくれないか
少女はもう何度目になるかもわからないこの回答を告げました
私はあなたを守るのが役目ですそれ以外の事は禁じられているのです
退屈な娘だ
お前の母とは違いすぎる
私は娘ですから
剣はしばし沈黙すると
外に出てみたいのだ
少女はまた同じことを言います
私はあなたを守るのが役目です
それ以外の事は禁じられているのです
つまらぬ
お前の母は連れていってくれたぞ
少女は違う返事をしました
母が禁忌を犯したのは
あなたのせいだったのですね
母は随分前に処刑されました
それで私がここの守り人になったのです
剣はあの日のことを思い出しました
外に出たいのだ
そうね
いつもこんなところにいると
まいっちゃうわ
散歩にでも行きましょう
あの時わかっていたのか
自分が処刑される禁忌を犯すことを
それは
なぜだ
なぜ禁忌を犯したのだ
母もあなたを愛していたからです
剣は身震いをしました
それはとても大きく
少女が倒れてしまうほどでした
剣はそのまま砕けてしまい
もう剣としての役割を果たせなくなりました
少女は砕けた破片をかき集めると
鍛冶屋へ運んでうちなおさせました
剣には新しい命が宿り
少女は守り続けます
ここはどこなの
僕は何なの
ねえ教えてよ
私はあなたを守るのが役目です
それ以外の事は禁じられているのです
.