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□聖剣
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一振りの剣が少女により守られていました


いつかくる危機のためそこにいる剣は
少女の母を愛していました



剣は少女へ囁きます




もう一度お前の母に会いたいのだ
一度だけでいいから目の前に連れてきてはくれないか




少女はもう何度目になるかもわからないこの回答を告げました



私はあなたを守るのが役目ですそれ以外の事は禁じられているのです




退屈な娘だ
お前の母とは違いすぎる



私は娘ですから







剣はしばし沈黙すると



外に出てみたいのだ




少女はまた同じことを言います





私はあなたを守るのが役目です
それ以外の事は禁じられているのです





つまらぬ
お前の母は連れていってくれたぞ




少女は違う返事をしました





母が禁忌を犯したのは
あなたのせいだったのですね
母は随分前に処刑されました
それで私がここの守り人になったのです









剣はあの日のことを思い出しました




外に出たいのだ




そうね
いつもこんなところにいると
まいっちゃうわ
散歩にでも行きましょう





あの時わかっていたのか
自分が処刑される禁忌を犯すことを




それは
なぜだ
なぜ禁忌を犯したのだ






母もあなたを愛していたからです







剣は身震いをしました
それはとても大きく
少女が倒れてしまうほどでした



剣はそのまま砕けてしまい
もう剣としての役割を果たせなくなりました






少女は砕けた破片をかき集めると
鍛冶屋へ運んでうちなおさせました


剣には新しい命が宿り
少女は守り続けます






ここはどこなの
僕は何なの
ねえ教えてよ





私はあなたを守るのが役目です
それ以外の事は禁じられているのです







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