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□椅子
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少女が一人で椅子の上



目の前塞ぐは地獄の扉



後ろに在るのは天への扉



地獄の扉は少女の虜



いつまでたっても閉まりはしない







天への扉は稀には開く



気づいた頃には閉まっているの


地獄の扉が閉まるとき



少女は後ろを振り向くも



天への扉は開かない








いつか開く天国よりも



もうすぐ開く地獄の扉






少女はいつしか恐怖も忘れ



地獄の扉の虜になった



私をずっと待っていたのは



目の前に在る地獄の扉



悪戯に開く天への扉はいらないの










少女は椅子から腰をあげ



地獄の門と契りを交わす



地獄の業火は少女へ向かう



地獄へ落ちる歓喜の歌は



炎に焼かれる痛みを欠いた



少女は火の海泳ぎきり



悪魔となって扉から出る



悪魔は振り向き微笑んで






あの日の椅子に腰掛けた











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