Long Dreamer
□掌中の夜
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───なにか、
酷く厭な夢を見たらしい。
呼吸がひどく苦しかった。
全身が汗ばんでいた。
胸は早鐘のように鳴っていた。
窓からは月明りが差し込んでいた。
理由もわからず泣いていた。
なんとか震える腕で上半身を支えると、彼はそのまま自分の体を抱えるように丸めた。
大丈夫だ。
大丈夫だ。
恐れる必要はない。
自分の心臓にどうにか、
そう言い聞かせようとしていた。
*
壁にかかった時計は、そろそろ日付が変わろうかという時刻を指していたが、
水戸はどうやらまだ起きているようだった。
隣の部屋へ続くドアから、蛍光灯の明かりが漏れている。
ミケは胸を撫でさすり、なんとか呼吸を整えると、ふらふらと明かりに吸い寄せられるように立ち上がって歩いた。
金属のノブに手をかけて押し開く。
すると、音もなくそれは開いた。
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