Long Dreamer
□FORECAST
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しかし。
「……お前……!」
「まぁ堅いことを言うな。お前とも彼女とも、知らない間柄では無いだろうに。」
話し声と足音が二つ、水戸のいる部屋へとせわしく近づいてくるのが判った。
(……んー?)
その事について考える暇すらなく、バンッ!とドアが勢いよく開く。
「───やあ、水戸。おはよう。
早速だが、出掛ける準備をしてくれないかね?」
そして、あいかわらず理解に苦しむ恰好をしたザックは、なにやら楽しそうにそう告げたのだった。
*
「……一体どういうことなの?
ザックさん。」
「おや、起きていたのか。」
「ザックさんが起こしたんでしょ…
人の家まであがり込んで、一体どういうつもりなのよ。」
車の運転をするザックを軽いジト目で睨み、隣の助手席に座った水戸はそう聞いた。
ちなみに車種は例のベンツ。
ただ、高級車の価値がよくわからない水戸は、あまり気にも留めなかった。
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